国家の捏造された神話、分断される人種や階層、はびこるプロパガンダ、反知性主義、被害者意識、地方と都市の対立……
ファシズムはどこからやってくるか 単行本(Amazon)
ヒトラー時代のモラルパニックからドナルド・トランプのレトリックまで。大衆の情動はいかにして扇動されるのか。「我々」と「やつら」のあいだに線引きをする、その政治的手法の歴史と現在から、忍び寄るファシズムの正体が明かされる。
「我々」と「やつら」の構図。
[目次]
1神話的過去
2プロパガンダ
3反知性主義
4非現実性
5ヒエラルキー
6被害者意識
7法と秩序
8性的不安
9ソドムとゴモラ
10働けば自由になる
硬派な作品ですが骨っぽい作品
まず、全体の感想となりますが、見出しにも入れているように、非常に難しいです。この辺りについては、外国人特有のがありますね。翻訳をしてくれている方の力量とかではなく、キリスト教圏内特有の言い回し。とも言いますかね、ベースにナチュラルにキリスト教的な価値観が書かれている文章の場合には、自分には馴染みがない部分、読んでいても、スーッと入ってこないんですよね。(ちなみに著者はユダヤ人になりますのでユダヤ教徒になると思いますが、なおさら分からい宗教になります。)
それでも読んだ感想としては、凄い良書である事は伝わりました。本のタイトル通りになるのですが、ファシズムと言うのがどこからやってくるのか?当然ながら、現代社会において、おっす!ファシズムだぞ!と自分からいって行進をしてくれる訳はないですからね。本人達の意識としてはファシズムだとも思っていない事が大半だと思います。
本書は、海外の事例。アメリカを中心としたヨーロッパ諸国の話が展開をされています。それでいて、現在の日本にも通じる部分が非常に多くなっているのを読んだ方であれば理解をする事が出来る人が大半だと思います。他の書籍の紹介ではあまりしていないのですが、今回は引用を多めでいきたいと思います。
まんま安倍晋三支持者のネトウヨさん
聖帝、安倍晋三が退位をしてしまい、ネトウヨさん達が元気がなくなるかな?と思っていたのですが、全くの杞憂でしたね。日本学術会議で、口を開いたら嘘をつく、甘利先生のデマを信じて発狂。アメリカの大統領選挙で海外からもJアノンと呼ばれる程のデマをまき散らしながら発奮。
天皇陛下に逆賊認定をされても元気一杯。
最近(2021年9月上旬)はコロナの感染者数も減少傾向にはありますが、たまってしまった重症者の事なんて屁とも思わない自民党。『そんな事よりさ、お前誰にするー?言えよー。』と言う感じで自民党総裁選に向けて、電話に夢中の自民党議員に向けて、これで選挙で勝てるぞ!出来れば高市!でも、それが無理なら自衛隊の幹部にシカとされたバカ大臣。そんな反知性主義の ネトウヨ を本文中に完璧に表している文章がありました。
ファシスト政治は教育や専門知や言語を攻撃することで『公の対話』を妨害しようとする。異なる視点を提供してくれる教育や、自分に不足した専門知への敬意や現実について的確に語ることができるだけの豊かな言語能力がなければ、知的な討論は成り立たない。教育と専門知と優れた言語能力が失われたあとには、『権力』と『同族への帰属意識』しか残らない
本書、54ページ目
断っておきますが、本書は2020年の2月に出版をされています。実際に原稿が書かれたのは当然ながら、それ以前になる訳ですから、コロナも関係がなければ、そもそも著者のジェイソン・スタンリーさんは、日本にはさほどの興味もない方になるのかな?と思いますが、どうでしょうか?上の引用文章。完璧じゃないですか?
流石に、菅総理(当時)の口からは直接的には聞く事が出来ませんでしたが、支持をしている方は日本学術会議で任命を拒否したのは『反日』だから。と言う理由で、それについて何の問題もないらしいです。菅総理自身も任命を拒否した理由については、頑なに回答をしませんでしたよね。これが『公の対話』の妨害でしょう。
もちろん、専門知への敬意も何もありません。その後のコロナ対応についても、悉く都合の良い意見だけを聞き、go to キャンペーンの再開をして、見事に感染拡大。そしてオリンピックについても、心情的に緩むから辞めるべきだし、今は他にやるべき事がある。と言う事が方々から言われていましたが、勿論無視。なお、聖帝様はオリンピック開催に反対をする人は『反日』と発言。タイミング的に天皇陛下が、疑義を呈していた時となり、発言が掲載された雑誌編集長が火消しにまわっていましたね。
当然ながら、国会を見ていても豊かな言語能力もないので、野党との討論でも知的な討論は成り立たず。残ったのは自民党総裁選での首のすげ替えによる、 『権力』と『自民党と言う同族へ帰属意識』のみ。国民の事なんて、知った事ではない。そんな感じですよね。
なお、国会を開け。と言う憲法上、何の問題もなく保障をされている野党の請求についても、ついには拒否。と言う事で明確に憲法違反を行使してくれましたね。これも『公の対話』への妨害行為ですよね。しかも憲法違反と言うおまけ付き。
この状態の自民党を支持する。と言うのは、もう左とか右ではない。屑かまともか?の話ですよね。
まだまだあるぞ!反知性主義!
自分たちを取り上げないメディアには偏向姿勢があるように見せ、さらには、報道を拒んだのは、陰謀の一翼を担っているからだとまでほのめかす。
本書80ページ目
意見が食い違うためには、世の中について『一定の前提を共有すること』が必要になる。
本書88ページ目
(一部省略)
オバマ大統領は米国の破壊を目論む隠れイスラム教徒ではないかとあなたが疑い、私がそれを疑っていないとき、両者の議論は生産的なものにならない。
いわゆる陰謀論になります。私自身も陰謀論は大好きですし、そうした書籍も読んだりしますが、真面目な選挙の場面になって、月刊ムーを片手に、ここに書いてある!と言う事を言うか?となると、言う訳がないでしょう。と言う話なんですよね。陰謀論はストーリーの出来を楽しむもので、真剣に信じて投票行動に反映をさせるべきではないんですよ。当たり前の話ですけれどね。
ネトウヨさんに関しては、すぐにパヨク!とか良いだして、野党は反日!とか言いだすんですよね。メディアについても当然ながら、反日に染まっていて云々(安倍語録:でんでん)とか、訳の分からない事を言い始めるのですが、DHCなんて凄いじゃないですか?
DHC またも「ヘイト声明」…なぜ差別者は「被害者」を装うのか
当然、こんな発言をしましたら、こうなる訳ですよ。
ムーミン商品、DHCコラボに批判相次ぐ…管理会社が謝罪 「人権関連についても厳しく審査していく」 【追記あり】
こんなのもある訳です。
言葉の問題だけではなく、もはや一般的な人と、この方々とは、『一定の前提を共有』しておくのは無理ではないか?と残念ながら思えてしまうんですよね。大体、何と戦っているのか?さっぱりと分からないんですよね。10代、せいぜい20代前半までであれば、まだセーフなのですが、30過ぎてこれは完全にアウト。DaiGoさんと同じレベルになりますね。あの方の例の発言も34になってから。と言う事で、もうアウトでしょうね。ここから人格が変わる事はあり得ないのかな?と残念ながら思います。
自民党の熱心な支持者には、野党は反日であり、メディアが正しく伝えていない!とDappiの如く、切り取り動画を拡散させている賞賛している人が非常に多いのですが、現実として、お金あげます。土地は要りません。と言う形で決着をしてしまったしか思えない北方領土とか、どう整合性を自分の中で取られているのでしょうか?
分かる部分はある。でもやっぱり分からない
心理学者のモーリーン・クレイグとジェニファー・リッチェソンは2014年の研究で”マジョリティがマイノリティ化する”ときが差し迫っていると明示しただけで、白人の政治的無党派層に右翼的政策を支持する人が増えたことを突き止めた。
本書、115ページ目
上記に関しては、舞台はアメリカとなっています。トランプの大統領誕生を予見させるものとなったのか?トランプがこれを利用したのか?両方になるのでしょうかね?
上記以外にも、人種とは関係のない保守的な政策への支持も強まる傾向が強い。と言う事が書かれています。
この件に関しては、アメリカであればヒスパニック系の増大。欧州でも同じようにヒスパニックやアラブ系の人口増大によって保守的な流れが強まりましたね。欧米もともに、揺れ戻しを行う過程となっているのかな?と思いますが、そんな中で、日本はどうなるのか?
衆議院選挙も近いので、日本でも揺れ戻しがあるのか?分からない部分が大きいのですが、根本的に現在の日本では、アジア系の国(韓国や中国)の人と肌の色に違いはありませんので、便宜上、大和民族としておきたいと思いますが、その大和民族が人口構成的にマイノリティになる。と言う事はあり得ない状況となります。
では、この10年ぐらいを振り返ってみると、人口的に外国人の比率が増えています。元々として保守的ではないこちらも便宜上としてリベラルと言う事にしおきたいと思いますが、リベラル政権によって、外国人の受け入れを大幅に広げた結果なのか?と言う話になりますと、そうではなく、自民党。特に安倍政権と言う、保守らしいよ。と言う政権の期間に増えているんですよね。
ここが凄く不思議ですね。安倍政権を支持してきた岩盤支持者を見ていると、保守らしいよ。と言う発言をしているのですが、やっている事は他の国と真逆で外国人の比率を増やす政策を支持してきた事になります。
そもそも論として、安倍政権の岩盤支持層がエキセントリック過ぎていて、自分達でも何をしようとしているのか?あるいは結果どうなったのか?と言う事については、分かっていない部分が大きいのかな?と思いますので、はたから見ていた私からしたら、目指していたらしい方向性と結果が全然違うのだけれど、これどうするの?と言う気持ちになりますね。
是非とも、心理学者のモーリーン・クレイグとジェニファー・リッチェソンの両者には、日本産のウヨさん達の研究をして頂きたいですね。
外国人比率が増えると、元々いたマジョリティが保守的になってくる。と言うのは、恐らくは古今東西の共通事項になると思います。日本の場合には、島国だった事もあり、その線引きが欧米と比較をすると異常に低いのかもしれませんね。
総合をすると、トランプ大統領の事が多く割かれているのですが、ここの人名を安倍晋三と変えるだけでも、かなり思い当たる節が出てくる。と私自身は思いました。
民主主義をより良く機能をさせていく為に必要となるのが、徹底的な情報開示と、それを読み解いていく訓練を続けていくしかないのかな?と思うのですが、ドンドンと違う方向に日本が行っている気がしますね。元来、私自身は自民党を支持していたのですが、野党時代に選挙に勝ちたいだけ。と言う理由で安倍晋三を担ぎあげた時から、支持を辞めました。あれは周りを徹底的に腐らせるから辞めてくれ。と思っていたのですけどね。
安倍政権になってから、何度となく『公の対話』の拒否が行われてきました。本人には悪いけれど、歴代内閣総理大臣の中で、唯一のまともに勉強すらしてこなかった総理大臣でしょうね。本書は全部で10章で構成をされている作品となるのですが、反知性主義の章では、一発目で、そうだよ!そうなんだよ!と思えるのが書かれていて、自分の中では物凄く衝撃的でした。
他の人の書評も読んでみよう!
上の上下の長目の書評を書かれている方はスマホで見たさいには、弁護士さんか?何かの方なのかな?と思っていたのですが、こうしてリンクを掲載するのでパソコンで見てみた所、元々は自民党で議員になった、現在は立憲民主党の議員の方でした。どうでも良いのですが、他の書籍についての紹介をしている記事を読んでいる際に、こいつ!ガブラーだな!(マルクス・ガブリエルを読んでいる人を個人的に勝手にそう読んでいます。私自身も読んでいます。)と思ったら、本当にマルクス・ガブリエルを読んでいましたね。
他にも、外山恒一さんが書評を書いていました。実際に読んでみたのですが、完全に寛容のパラドックスになりますので、リンクは掲載をしませんでした。線引きとしてやや難しい部分があるのも事実かもしれませんが、思想の自由としてファシズムを認める訳には、流石にいかないでしょう。外山恒一さんは、一般人ですからファシズムを掲げても日本では逮捕とかなりませんが、政治家が掲げたらヤバイでしょうね。
下記、ウヨさんが、女版・安倍晋三と大絶賛をしている高市さんの画像になります。
こうして見ると、安倍晋三大好き!と言う人の中には、安倍晋三がファシストだから好き!と言う確信犯的な人もいたのかもしれませんね。
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