認知症を患い、日ごと記憶が失われゆく老女には、それでも消せない “秘密の絆” があった――
八十六年の人生を遡る最後の旅が、図らずも浮かび上がらせる壮絶な真実!
日本推理作家協会賞 『愚者の毒』 を超える、魂の戦慄!
過去の断片が、まあさんを苦しめている。それまで理性で抑えつけていたものが溢れ出してきているのだ。彼女の心のつかえを取り除いてあげたい――
アイと富士子は、二十年来の友人・益恵を “最後の旅” に連れ出すことにした。それは、益恵がかつて暮らした土地を巡る旅。大津、松山、五島列島……満州からの引揚者だった益恵は、いかにして敗戦の苛酷を生き延び、今日の平穏を得たのか。彼女が隠しつづけてきた秘密とは? 旅の果て、益恵がこれまで見せたことのない感情を露わにした時、老女たちの運命は急転する――。
読んでいて辛くなるけれども良書でした
何の情報もなく、本当にカバーだけで選んで購入をしました。何となくですが、こう、ほんわかとした話なのかな?とカバーとタイトルから連想をしましたね。普段は小難しい本を中心に読んでいるので、たまには息抜きで、リラックスをする事が出来る作品。と言う事で、小難しい本を読み終えて、少し精神的なリフレッシュを求めて読み始めたのですが、なんだこりゃ?
主人公と呼んで良いのかな?認知症の老婆である益恵さん。そんな益恵さんを友達と三人で、足跡を辿っていくストーリーとなるのですが、この益恵さんが満州からの引揚者で、その過程の話と、足跡を辿る旅行の話が交互に展開をされていく構成の作品となります。満洲については、興味を持っているジャンルの一つとなっていて、兵隊の書いた話は読んだ事がありますし、満洲に絡んだ話も読んではいたのですが、引揚者の話については、あまり読んでこなかったのですが、知名などについては、事前に別の作品などで読んでいたので、それとなく分かる範囲となっていました。
上述をしたように、リフレッシュでほんわかした作品だと思っていたので、過酷と言う言葉だけでは済まされない、引揚者の話が展開をされていて、思っていたのと違う!と頭をガツン!とやられましたね。
作品としては小説になりますので、全ての事柄が事実か?自分自身では判断をし辛い部分もあるのですが、巻末に掲載をされている参考文献を見ると、恐らくは史実も多いのかと思います。そうした過酷な中で、一人の少女が生き抜く為に取った行動。そして同じ年の友達が出来て、そこからも苦労の連続だった事。
歴史者が好きな人も多いと思いますが、読んでいる作品としては、戦争当時の将校が書いた作品などは多いと思います。ストレートに言えば、学もそれほどある訳でもなく、何の情報も持たされない現場の前線の兵士も入れば、それこそ民間人の目線。と言うのは、かけている部分も多いでしょうね。
最近は自分自身が年齢を重ねたせいか?こうした民間人の目線での戦争。と言うのを読みたいのですが、本土にいた日本人の話については、これでもか!と言う位に学校でも、課外活動としてそうした施設センターなどに行った事が多いかと思いますが、本当に辛かったのは、ろくな指揮系統も持たない、樺太や満洲からの引揚者ですよね。台湾も含まれているかもしれませんが、あまり詳しくはないのですが、樺太や満洲よりは大分楽だったのではないでしょうか?
満洲への興味がある事は上述をしていますが、まだまだ読み切れていない本が積んである状態となりまして、どうしたものか?と思っていたら、まるで満洲が私を追いかけてきたのか?と勝手に想像をしてしまいました。
話の本筋としての謎の部分については、正直、途中で気がついてしまい、あー、、気がついてしまったわ。となりましたが、その後にもう一つ展開が用意をされていました。トータル的には、良い本です。
認知症の人が見えている世界。生きてる世界観と言うは難しいですよね。病気については、結局の所、なった事がある人にしか分からない。自分自身もいくつか病気を抱えていますが、もう数年付き合っている病気については、自分自身も距離感を測れるようになりましたが、今年はヘルニアになりましてね。市民病院に行きまして、最初の先生からは半年もあれば、治りますよ!と言われました。
素人から見れば、治ると言う事は、はみ出たクッションが、元の位置に多少なりとも戻るのかな?と考えるじゃないですか?でも、中々痺れや微妙な痛みが取れなくて、半年以上が経過をして、途中で切り替わって先生にレントゲン検査をしてもらいましたが、全く骨と骨が広がっていないの。治るって、前の先生に言われたのですが、それって、痛みは取れていきますよ。と言う意味で、骨と骨の隙間が広がっていくことではないんですか?広がるとしたら、どれぐらいの時間がかかるんですか?と先生に質問をしましたが、うーーん。人によりますからね。と回答で、何だかはぐらかされました。で、上述をしているように、他の病気も抱えていますので、そちらの先生に聞いたら、ヘルニアになったら、骨同士が広がる可能性は、ほぼないよ。とはっきりと言われたんですね。
もちろん、専門自体が違う先生になりますが、お医者さんは、一通り全ての科の勉強をしているので、きっとそうなんでしょう。
病気については、はっきりと言って貰いたい派の人に自分自身がなりますので、レントゲン検査で、全然広がっていないやん。。と三日間位、落ち込んでいましたが、別の病院の先生にはっきりと言って貰い。これから自分は、取れるかもしれない、適度な痛みと痺れ。そして、いつか爆発をするかもしれない、状態である。と言う事を知り、それに対しての覚悟みたいなのが、最近は出来ましたね。
タイトルとなっている、『羊は安らかに草を食み』ですが、バッハの曲だったんですね。聞いてみたら、あーーー!はいはい!と聞いた事がある曲になりますが、タイトルまでは知りませんでした。認知症の事、満洲の引揚者の話。バッハの曲は知っているけれど、タイトルは知らない。そうした事をいくつか勉強させて頂く良い機会になりましたね。その他、聖歌となる、「山ゆくも海ゆくも」を下に置いておきたいと思います。
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