希望の一滴 中村哲、アフガン最期の言葉(大人が読もうぜ)

希望の一滴 中村哲、アフガン最期の言葉
希望の一滴 中村哲、アフガン最期の言葉

全国学校図書館協議会 2021年 第54回「夏休みの本(緑陰図書)」選定。※中学校向け
銃撃から一年。追悼、中村哲。
飽食、不寛容、温暖化・・・この世界に生かされている私たちが読むべき1冊
2019年12月にアフガニスタンで凶弾に倒れた中村哲医師の寄稿を再編集した本です。
亡くなる直前の同月2日に西日本新聞朝刊に掲載された原稿を含め、2009年から10年にわたって書き続けた連載を一冊にまとめました。
砂漠化した土地に水を導き、多くの人々の命を救った中村医師。泥にまみれ、宗教や慣習の違いを受け入れ、命の危険さえ感じながらも活動を続けてきた著者の言葉は、何が虚構で何が真実かを見極める目を養えと、今を生かされている私たちに訴えます。
著者の活動を支援してきた福岡市のNGOペシャワール会の協力のもと、 本人やスタッフが撮影した数々の写真を収載したのが本著の特徴です。芥川賞作家火野葦平を伯父にもつ中村医師は、書いて訴える「言葉の人」でした。
本著は、10冊近くある既刊書とは趣を異にし、オールカラー写真で見るアフガンの風景や人々の表情が著者の文章を裏打ちします。
いわゆる写真家が撮影した写真ではありませんが、 映し出された人々の表情は、長年にわたり現地で人々に寄り添ったからこそ撮れる、偽りのないものです。
本紙への寄稿原稿は、中村医師の事業報告であり、時事評論や随想でもあります。一冊の本にするにあたり、 本文に出てくる用語などには、出版元の責任で脚注を追加し、読者が当時の社会情勢を振り返りやすくしています。
米同時多発テロをリアルタイムで知らない若い世代にも手に取ってほしいと願うからです。
中村哲という人物の功績をたたえるだけにとどまらず、彼が抱き続けた世の不条理への怒りや自然への敬意を感じながら、温暖化や自国第一主義がまん延する今の世界を、どう生きるべきか読者が考える材料となることを期待しています。

大人にこそ読んで貰いたい

本書を読み終えて、こうして記事にしよう。としてみて、アマゾンなんかで商品をチェックしてみたら、中学生向けの『夏休みの本』に選定をされているみたいです。全く知らなかったのですが、中学生って14前後でしょう?アフガニスタンへの米軍の空爆が開始をされたのは2001年で生まれてもいないでしょう?そんな子供に推薦をするのは、いかん!とは言わないのですが、当時すでに生きていた世代こそ、本書を読むべきではないでしょうか?

米軍撤退ですぐにタリバンが盛り返し、あっと言う間に制圧をされてしまって、あの戦争は何だったの?日本は何の為にアメリカのけつを舐めたんだ?と言う虚しさを感じた大人も多いと思います。2021年時点での中学生であれば、そもそも生まれた頃から、米軍がアフガニスタンを制圧しているので、本書で書かれている事も、良く分からない。と言うか、タイムリーにみてきた皮膚感覚はないでしょうからね。

※閲覧注意 アフガニスタン、タリバンが首都制圧 飛行機につかまり出国試みる人々

中村哲さんが亡くなったのは、ニュースでも報道をされましたが、中学生だと、誰それ?になるでしょう。それよりも唐突に良く分からない国から、米軍が撤退をしたら、上に掲載をしている、なんかとんでもない映像が流れてきた。と言う感覚だと思います。

本書内の金言の紹介

我々はつい教育の重要性を説くあまり、地域に根ざす文化を忘れがちだ。経済的な貧困は必ずしも精神の貧困ではない。識字率や就学率は必ずしも文化的な高さの指標ではない。

本書60P

彼らには『アフガンは支配が不可能。外国軍はいずれ去る。』と言う確信がある。

本書100P

もはや外国軍に敵意を持たぬ市民の方が、珍しいであろう。道義上既に敗北をした彼らは、何を守ろうとするのか。嘘が嘘を呼んで膨らむ架空の世界は、根拠を失って敗北する。

本書109P

特に首都カブールに赴任すれば、きらびやかな豪邸や街路が極端な貧富の差を見せつける。欧米兵を守るため、劣悪な条件で前線に立たされ、罪のない同胞への発砲を命ぜられる。まっとうな感性を持つアフガン人なら、屈辱感を覚える。

本書127P

変わったのは最近だ。『先進国』がカネ中心の社会に変化した時期と一致する。生産より消費が奨励され、世界経済の動向が地域の小さななりわいを駆逐する。違いを許さぬ狭量な均質性が求められ、実をあげるより、いかによく見せるかが関心となる。都合の悪い習慣や文化は国際的に集中砲火を浴び、弱者は利用価値を失うと置き去られる。

本書151P

市場で実物取引がわずかになったように、現代は言葉の洪水の時代で、実が失われていく時代だ。自分の経験で確認しない知識は偽モノになりやすいという事だ。

本書184P

勿論、他にも多数あるのですが、アフガニスタンと言えば、テレビで報道をされている中心は首都のカブールでした。首都になりますので、当たり前と言えば当たり前なのですが、地方での報道はあまりされていませんでした。理由は危ないからです。

米軍徹底と同時に即座に政権が崩壊をして、タリバン政権が復活をして、何故こんな事に?と驚いた人も多かったと思います。私も遅かれ早かれとは思っていたのですが、まさかの、ほぼ即日には驚かされたのですが、現場で見てきた中村哲さんから見れば、当たり前の事だったのが、もう随分前の時点から書かれていました。

女性の解放、民主主義的な選挙。元々が地方がそれぞれの独自色となっていたアフガニスタンでは、馴染みもなければ、恩恵も一部でのみとなり、与えてきたのは屈辱感が大きかったのでしょうね。私自身も当然タリバン政権に良いイメージはありませんし、現代社会において外貨獲得は流石になくす訳には行かないと思いますので、歴史的な建造物を破壊してきたのは、人類としての損失になると思いますし、貴重な観光資源を自分から破壊をする。と言う事は受け入れ難いのですが、アフガニスタンで暮らす一般人から見ての優先順位としては、まずは食べ物になるでしょうね。

それまで自給自足の生活をしてきた多数のアフガニスタン人からしてみたら、干魃と空爆で生活の糧を失い、食料を購入する為の現金収入を得る必要性を迫られて、外国軍を守る為の仕事やそれに付随をする仕事が雇用を吸収していたみたいです。ただ、それが本人達の望むような事ではないのは明らかだったでしょうね。

その他の引用文章などは、自分自身への戒めなどに掲載をしておきたいと思います。

本書の構成は写真なども多く掲載をされているのですが、文字として多くを割かれているのは、土地の復活であり、灌漑事業についてとなります。アフガニスタンの地方の名前など、耳馴染みのない単語が多く登場をしましたので、個人的には読むのに、非常にタフさが求められる作品となりました。内容についても、当然重い話も多くなりますので、精神的な気合いも必要となる作品でしたね。

以下、中村哲さんが率いていたペシャワール会のサイトになります。

中村哲さんの動画

銃撃から1年・・・中村哲さんの遺志は アフガンの今(2020年12月4日)

中村哲さんの動画については、もう幾らでもYOUTUBE内にありますので、沢山見て頂きたいですね。

本書自体もなんですが、非常に厳しいです。厳しい事が多く書かれています。上の動画についても開始1分程で、日本人の方が亡くなれた話が登場をしています。日本のマスコミが総力を上げて帰ってこい。と言っていたけれど、じゃあ、ここの人達はどうなるの?と言う中村さんの台詞があります。

そうなんですよ。沖縄と同じで、見てみないフリをしている自分自身がいるので、読むのが辛い部分が正直ありますよね。

冒頭に中学生の推薦図書と言う事を書いていますので、私自身はタイムリーに見ていた記憶がありますが、アメリカ軍のアフガニスタン侵攻に合わせて、日本が付いていくべきか?どうか?と言うのが国会でもあれこれとありまして、当時から医者としてアフガニスタンにいた、アフガニスタンの事と言えば、この人。と言う事で国会に呼ばれ、証言をした事もあります。

権力に対して、敢然と立ち向かい、政権与党議員からの野次にも全く動じない一般人?と言う事で、当時見ていて、この人凄いな。と思った記憶がありますね。詳しくは以下の記事などどうぞ。

こんなんもあります(Twitter関連)

希望の一滴 中村哲、アフガン最期の言葉(読んでみよう♪)

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