太陽の子(灰谷健次郎)

太陽の子(灰谷健次郎)
太陽の子(灰谷健次郎)

ふうちゃんが六年生になった頃、お父さんが心の病気にかかった。お父さんの病気は、どうやら沖縄と戦争に原因があるらしい。なぜ、お父さんの心の中だけ戦争は続くのだろう? 著者渾身の長編小説!

大切な事が多く詰まっている名著

小学6年生の、ふうちゃん。お父さんが沖縄出身で、沖縄の料理屋さんの経営をしていて、その名前が『てだのふあ・沖縄亭』。沖縄出身、そうでない人も含めた常連達との会話などを通して、ふうちゃんが色々と気が付き、学んでいく形となる作品になるのですが、作者の灰谷健次郎さんの作品としては、個人的には2冊目となります。

最初に読んだ『兎の目』が、人として美しく生きるとは?と言う事を問いかけてくるのに対して、今作となる『太陽の子』は、そもそも生きるとは何か?を問いかけてくる作品となります。紹介をしたい引用箇所に付箋を貼り付けていたら、膨大な数となりますので、頑張って厳選をしてみました。

大事な引用箇所の紹介

人間の暮らしに必要なものとそうでないもんとの区別がつかなんだ。それがわからん人間はわやになるね。

148ページ

これ、わやになるですが、これ、若い方だと分からないでしょうね。私自身も日常生活で使う場面があっても、使う事はない単語です。大往生をした婆さんが使っていた言葉になり、適切な表現になっているかどうか?ちょっと微妙なのですが、滅茶苦茶になってしまう。と言う意味になります。

知らなくてはならないことを、知らないで過ごしてしまうような勇気のない人間に、わたしはなりたくありません。そんなひきょうな人間になりたくありません。

286ページ

現代社会において、これほど痛烈に刺さる言葉があるでしょうか?知らなくてはならないことは、得てして知っても簡単には答えが出ない、考えれば考える程、頭がこんがらがってしまいますし、それが人を巻き込んでの不公平や不幸な事であり、そうした人に心を寄せていけばいくほど、苦しくなっていきます。そうした苦しさに自分自身に対して抵抗の精神を持ちながら、知り、考えていく。それが分かっているから、多くの人が逃げようとして、本当は頭の中の片隅で知っているし、知らないといけないと思いながらも、直視をしないで、卑怯な立ち振る舞いを見せる人間が、取りあえず現代では大半に、少なくとも私自身には見えます。昔の人は立派だったとか、そんな事は知らないですし、大して立派ではなかったから、今があるんじゃいかな?と思いますので、昔の人も卑怯な人間が多かったと思います。

人を愛するということは、知らない人生を知るということでもあるんだよ。

384ページ

愛ってなんでしょう?心を受け入れ。と言う事でもあるのですが、そうか、その心が人生なのかな?と、愛を模索している私自身には、そう言う捉え方もあるんだな。と思えた、ワンフレーズとなります。これは、上でも引用をしている箇所と連結をしている形となると思います。知らない人生を知る。それが知らなくてならないことだとしたら?そう、灰谷健次郎さんに問われた気持ちを個人的には持ちました。

日本は沖縄の心にふれて、だんだんまともになっていくのとちがうやろか。そやなかったら、日本は死ぬだけや。

392ページ

灰谷健次郎先生、申し訳ないです。日本は死ぬだけです。グローバリゼーションによって、倫理観が死んだ。倫理観の再生は、そう簡単には行かない。難しい課題です。メディアは怪し気な人物を囃し立て、単なる犯罪者じゃねーかよ。と言う人物をいよいよ、国民は選挙で選んでしまっているのが現実です。前科持ちで、それを洗い流してきているならともかく、現役バリバリの逃亡犯を選ぶとか、もう正気とは思えないですし、多くの家庭を滅茶苦茶にしてきたカルト宗教とべったりの政党を、これからも国民は選んでいく。落ちる所まで落ちて、現実をまざまざと実感をする所まで行かないと、駄目みたいです。この辺りについては、次に紹介をする『ボーダー』で熱く書きたいと思います。

下には、作中に登場をした、猫ユンタを配置しておきたいと思います。

猫ユンタ(石垣島石垣)

太陽の子(灰谷健次郎)を是非!読んで下さい!

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