忘れられた日本人(傑作!読まないとダメだと思うレベル)

忘れられた日本人

忘れられた日本人

昭和14年以来、日本全国をくまなく歩き、各地の民間伝承を克明に調査した著者(1907‐81)が、文化を築き支えてきた伝承者=老人達がどのような環境に生きてきたかを、古老たち自身の語るライフヒストリーをまじえて生き生きと描く。辺境の地で黙々と生きる日本人の存在を歴史の舞台にうかびあがらせた宮本民俗学の代表作。

宮本常一の最高傑作か!?

民俗学には興味が前からありまして、民俗学と行ったら、柳田国男が知名度としては一番かな?と思いましてね、遠野物語を読んでんですよ。なるほどなー。とは思えたのですが、すげーつまらなかったの。それで、ちょっと民俗学から距離を置いてしまったのですが、サンカについて調べたくなりまして、こちらの『忘れられた日本人』に記載がある。と言う事だったので、ついに宮本常一先生の作品、デビューとなりました。

スタートだったはずの、サンカについては、ほとんど書かれていなくて、ポンと書かれていた程度で、茶筅を売りにきた程度の文章で紹介をされている程度でした。一応は後書きにも、チラッと書かれているのですが、宮本常一先生が、直にサンカについての見解を書かれている訳ではないです。

ここはちょっと自分のイメージとのギャップで肩透かしを食らってしまったのですが、その肩透かしを大きく超える、内容の充実感と満足感を味わえましたね。

基本的には読みやすい

読書に多少は慣れているタイプの方でも、昔の書籍になりますと、非常に読み辛い形式で書かれていて、何だか頭が痛くなってきた。と言う事もあると思います。自分の場合には、新書として購入をしていまして、口語訳も現代表記に変えてるよ。と岩波が言っている、原本とは表記に違いがあるかもしれません。

この辺り、中古で購入を考えている人の場合には注意が必要なのかもしれません。取りあえず2016年の発行されたのを購入して読みましたが、非常に読みやすい構成、表記でした。

夜這いの作法

農村の男女の関係が非常に赤裸々に描かれています。中でも前から話としては聞いていたのですが、実際にやったであろう御仁から、懇切丁寧にレクチャーをされている下りがありまして、猛烈に感動しました。勿論現場を見た訳ではないのですが、木で出来た雨戸を開ける際には、しょんべんをひっかけて湿らせておいて、音を立てないようにする。と言う下りを、しっかりと活字で確認出来たのが良かったですね。

娘さんも、嫌がる訳でもなしに。と言う事で、行為に及ぶ訳ですが、それで妊娠をしたからと言って、どう。と言う事はない。村全体で赤子を育てる、この安心感のある共同体。と読んでいて思いましたね。

遥か昔のように思えるのですが、実際問題、かなり昔からの農村での習慣ではあったのでしょうが、つい100年も立たない間に世間一般のモラルも西欧化をされたのか?明治維新から、急激にこうした事に対しての締め付けが厳しくなっていき、両方の狭間で生きた人が、つまらん世の中になった。とドストレートに証言をしてくれているのが凄いですよね。

後家には手をだしても、流石に旦那がいるケースでは、ちょっと怒られる事もあるみたいで、基本的にはNGな。と言う世界観になるのですが、お祭りの日には解禁をされる。と言う、どこまでもフリーダムな世界が昭和まで日本にあったんですね。

猛烈に感動をさせて頂きました。これについても、やはり、警察官が出てきて、そうした事はいかん!となりまして、はー、つまらない世の中になりました。と言う証言があり、すげーな。おい!と言う気持ちになります。

夜這いだけではなく誇りある農民

この作品が凄いのは、大して働かない農民の生涯についても書かれているのですが、村の為に村の将来を考えて必死で勉学と仕事をしている方の紹介もしている点になります。ついでに書くと、農民ではなく、大工やら最終的には橋の下で生活をする、フリーダムな方の人生についても書かれています。

まさに、その人の人生。と言うやつで、当時は、別にそんな人間は珍しくも何ともなかったのですが、勿論存命であったからが前提になっているのですが、みんな何とかなってるのが凄いですよね。

これは、絶対に読んで方が良い作品だと思います。年齢的に分からない部分もありますが、自分は40前の30台後半で読みましたが、せめて前半で読んでおきたかったですね。40過ぎて読んだら確実に公開をするレベルですし、50以降は、今まで何してきたの?と思えるレベルになります。

30後半の自分から見れば、祖母さまの親の時代でしょう?これ?と言う感じで、ギリギリ写真が残っている世代になります。それこそ、20代前半で読んでおけば、人生観が変わると思います。遅くて悪い事もないのですが、早めに読んだ方が良い作品ですね。

民俗学の中でも、自分で足を運んで、それまでの民俗学に対して、懐疑的な見方をしていき、もっと現場の人達の暮らしがどうだったのか?そこにスポットを当ててくれて、こうして構成に残る形で書籍にまとめておいてくれた宮本常一先生に感謝ですね。

ただ、断っておくと、当時の日本人すげー!とか、そこまでは別段思わないです。今と比較をして、穏やかで良い時代ではあったと思います。誰の子か分からない。と言う事で、自己責任とか言う言葉で切り捨てる事はなく、村の共同体、みんなで育てる。それが当たり前。

子供を養えない親は子供を連れて、色々な家を訪ねて、ここの家なら子供に優しくしてくれそうだし。と言う事で、勿論辛い気持ちで一杯だったでしょうが、宜しくお願いします。と言われたら、言われた方も断わらないの。要するに一言で言えば、お互い様になるのですが、この精神がね。今の日本には失われているとは思いますよね。

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