象は、大勢に拍手され、見物され、あっという間に忘れられるんです。それが人生というものです。
ノーベル賞作家サラマーゴが最晩年に遺した、史実に基づく愛と皮肉なユーモアに満ちた傑作。
1551年、ポルトガル国王はオーストリア大公の婚儀への祝いとして象を贈ることを決める。象遣いのスブッロは、重大な任務を受け象のソロモンの肩に乗ってリスボンを出発する。
嵐の地中海を渡り、冬のアルプスを越え、行く先々で出会う人々に驚きを与えながら、彼らはウィーンまでひたすら歩く。
時おり作家自身も顔をのぞかせて語られる、波乱万丈で壮大な旅。
「ささやかで不条理な奇跡の連続」(アーシュラ・K・ル=グウィン)
「サラマーゴが、その人生の終わりに近くで書いた、愛嬌たっぷりの作品。
『象の旅』は皮肉たっぷりで共感を豊かに誘う語りの中に、人間の本質についてのウィットに富んだ思索と、人間の尊厳を侮辱する権力者への揶揄を定期的に挟み込んでくる」(ロサンゼルス・タイムズ)
「サラマーゴは(……)この奇妙ながらも読み進めずにはいられない物語を紡いだ。
サラマーゴがシュールで魅力的な散文の巨匠としてこれからも人々の記憶にのこるのはなぜか、この物語が完ぺきな例である」(GQ)
象、ソロモンと象遣いの旅の小説
ノーベル文学賞を受賞したジョゼ・サラマーゴ氏による作品。まず、ノーベル文学賞と言われても、そうだったんだ。レベルに私自身がなってしまうのですが、他の作品であれば、『白の闇』が有名ですかね。コロナの影響もありまして、書店で山積みをされていて、手に取って購入してみようか?どうしようか?と考えた事があります。実際に購入をしていないので、本書である『象の旅』が始めてのサラマーゴ作品となりましたが、本書のあとがきにて、『白の闇』と同一の著作である事を知った程度です。
と言う事で、サラマーゴ氏が、どれだけ著名な作家さんであるか?と言う事は一切知らない状態で読み始めたのですが、これぞ洋書ですよね。と言う感じでしたね。洋書全般に言える事なのですが、細部の事が細かく書かれていて、本筋が中々進まない。日本の作品でも、そうした作品はあるのかもしれませんが、作品としても時代背景から仕方ない面もあるのですが、キリスト教的な事を書かれていたり、読んでいて読み辛い。そしてキリスト教的な事を言われても、良く分からない。と言う感じになってしまったので、読み終えるのに、パワーが必要となる作品となりました。
本書の作成のきっかけとなったレストランにて並べられている象の旅が描かれている絵をヒントに、本書は作成をされています。どこまでが事実なのか?どこからが小説なのか?答えを書いてしまうと、象が贈り物として旅に出て、途中、どこどこを通過して、どの位の時期に到着をしたのか?その辺りについては事実になりますが、その旅の途中の過程については、小説となります。
面白かったか?と言われたら、正直に言えば、そんなでもねーぞ。と思えるのですが、遥々インドからやってきた象のソロモン。そしてソロモンと一緒にやってきたスブッロ君。ポルトガルまで行ったのに、邪魔だな。。となってしまい、オーストリアまで行く事になる訳ですが、時代背景と言いますか、当時の価値観なんかが読んでいて、何となく伝わってきて、西洋人の近代化前は、そんな感じだったんだね。と言うのが、何となく分かったのが良かったです。
本書を楽しめるかどうか?については人それぞれでになりますね。ちょっとした冒険譚が好きな人であれば、楽しめると思いますし、私みたいに、洋書って何だか読んでいて、日本人が書く作品と文章の構成自体がテイストが違うから、何となく疲れる。と言う人には向いていないかもしれません。取りあえず街頭作品ではないかもしれませんが、ノーベル文学賞の作品を読んだぞ!と思えたのが一番の収穫かもしれませんね。
本書のきっかけとなったレストラン『Restaurant S’Nockerl im Elefant』
たぶん、ここのレストランで間違いないと思いますが、サラマーゴ氏が実際に自分の目でみて、今作を作るきっかけとなった象の旅を示している作品についてですが、探しましたよ♪サラマーゴ氏の権力に対する皮肉をユーモアたっぷりに。とか、他の書評サイトでは書かれているのかな?と思いますが、ここまで調べているサイトはそうはあるまい。
なお、画像の引用元はトリップアドバイザーになるのですが、見てみると、閉業となっています。コロナの影響で一時的に閉店をしているのか?もうシンプルに閉店なのか?ちょっとその辺りについては不明点もあるのですが、完全な閉店だとしたら、トリップアドバイザーも、そのうちにバッサリと削除をしてしまう可能性もありますので、以下に掲載をしている画像は貴重な物になってしまうかも?
ちょっと更に調べてみたのですが、正式にはホテルがエレファントと言う名前。つまりホテルエレファントになるのですが、そこの食事のレストランのお店でしたが、現在はやはり閉店となります。内装品についてはホテルエレファント内に移転をしてくれていたら良いのですが、どうなんでしょうね?
あとがきで猛プッシュをされていた『José e Pilar』
https://www.youtube.com/watch?v=tu7jJOIRYfQ
動画をページに埋め込み不可となっていたので、上をリンクしてYOUTUBEに移動をしてから見て下さい。映画が丸々と一本アップをされています。一応は日本語字幕付きになるのですが、翻訳者の木下眞穂さんが言うには、和訳がイマイチらしいです。
タイトルからも分かると思いますが、著者である サラマーゴ氏を撮影している映画となります。ちなみに、こんなのもあります。
また、私自身が本屋さんで山積みをされていて、手にとってみて、購入をしようかどうしようか?と考えた。 『白の闇』 についても、 サラマーゴ氏自身が語っている動画もありましたので、そちらも掲載をしておきたいと思います。
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