平蔵は「人物は宜しからず」――。寛政の権力者が集めた江戸役人の人物評!
長谷川平蔵は「人物は宜しからず」――。天明七年、八代将軍吉宗の孫・松平定信が老中首座に任じられた。賄賂の田沼時代からの脱却を目指した寛政の権力者・定信が集めさせた、江戸役人たちの発言や噂話。出世欲、保身、家庭の悩み――当時の役人の生態が赤裸々に書き留められた希有な記録『よしの冊子』を読む。(※本書は、2015年2月に小社から刊行された新人物文庫『武士の人事評価』の角川新書版です)
[もくじ] 第一章 政権交代─松平定信と田沼意次
第二章 老中たちの評判
第三章 幕閣大名の生態
第四章 町奉行の勤務ぶり
第五章 勘定奉行と勘定所役人
第六章 江戸の機動隊、火付盗賊改
終 章 松平定信の退場
付表・諸役職就任者 [紹介している人物] 吉宗の血をひく貴公子──松平定信/地に落ちた権力者──田沼意次/賄賂で老中になった名門大名──阿部正倫
温厚、何の害もこれ無く──松平康福/心得違いを反省──水野忠友/真っ先に登用された若手の俊秀──松平信明
側用人から老中格へ──本多忠籌/次代を担う若年寄──堀田正敦/刀を忘れて自ら謹慎──京極高久
将来を嘱望された寺社奉行──脇坂安董/出世を厭う坊ちゃん育ちの大名──井上正国/失言で左遷──曲淵景漸
町方から馬鹿にされた町奉行──柳生久通/天国から地獄へ──初鹿野信興/萎縮した金太郎侍──池田長惠
御三卿・清水家を改革──柘植正寔/型破りの豪傑──根岸鎮衛/御城が家より好き──柳生久通
人々が感服する能吏──久世広民/上をだます勘定吟味役──佐久間茂之/母のために昇進を厭う──堀帯刀
江戸町人に大人気──長谷川平蔵/定信との関係を自慢する自信家──松平左金吾/平蔵の毒気に当てられる──太田資同内容(「BOOK」データベースより)
長谷川平蔵は「人物は宜しからず」―。天明七年(1787)、八代将軍吉宗の孫・松平定信が老中首座に任じられた。賄賂の田沼時代からの脱却を目指した寛政の権力者・定信が集めさせた、江戸役人たちの発言や噂話。出世欲、保身、家庭の悩み―当時の役人の生態が赤裸々に書き留められた希有な記録『よしの冊子』を読む。著者について
●山本 博文:1957年、岡山県津山市生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。文学博士。東京大学史料編纂所教授。1992年、『江戸お留守居役の日記』(読売新聞、のちに講談社学術文庫)で第40回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。著書に、『決定版 江戸散歩』(KADOKAWA)、『現代語訳 武士道』(ちくま新書)、『歴史をつかむ技法』(新潮新書)、『流れをつかむ日本史』『東大教授の「忠臣蔵」講義』(角川新書)など多数。角川まんが学習シリーズ『日本の歴史』の全巻監修。NHK Eテレ「知恵泉」などテレビやラジオなどにも数多く出演。著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
山本/博文
1957年、岡山県津山市生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。文学博士。東京大学史料編纂所教授。1992年、『江戸お留守居役の日記』(読売新聞社、のちに講談社学術文庫)で第40回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
田沼意次から松平定信までの人事
田沼意次、松平定信、この辺りであれば、受験でもマストで覚えないといけない訳ですが、その人物達をサポートする役割として仕えていた人物。何人言えますか?となれば、恐らくは大多数の人が0人だと思います。
そのほぼ知名度としてはないであろう、役割として、当時を懸命に生きた人達にスポットを当てているのですが、それなりに面白かったですね。
特に面白かったのが、失敗を恐れずに、グイグイと生きてきた結果、大抜擢をされて一気に昇進をしたのだけれど、いきなりの昇進で萎縮してしまい、逆に何も出来なくなってしまった人とか、面白いですよね。気持ち的にも凄く分かります。周りが同じレベルだったから恐れずに頑張れたけど、皆が目上になったら、萎縮してしまう。とかいかにも人間臭いです。
松平定信も、期待をしていたのに、萎縮しちゃってるから、記録には会話内容は残っていないのですが、呼び出されて会話をした後には、これまで通りに元気になった。とか書かれているの。きっと松平定信が、お前失敗を恐れて萎縮したら、お前の持ち味が出ないから、気にしないで頑張れよ。みたいな事を言われたのでしょうね。こう言う一言って上司が部下にするのは大切な事ですよね。
で、空きが出ると、次の人事について町民や全く関係のない部下達があれこれ予想をして、結構予想が当たるの。この辺り、当時の生きた流れや空気を把握しているので、当たる事自体はそこまで不思議ではないのでしょうが、特別な事はなにもなく、皆普通に生きていたんですね。
で、上司が帰らないから部下も帰り辛くて、帰りたいけれども帰れない。と愚痴を言っているのか、それを見て、さらに上の上司が、その人に早く帰れよ。と最速をしているのだけれども、折り合いが悪いみたいで、じゃあ、もっと残ります。みたいなになって、部下がさらに愚痴をこぼしている。とか、面白いよね。
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