内容紹介
海外の研究者が「世界初の先物取引市場」と評価する江戸時代、大坂堂島の米市場。米を証券化した「米切手」が、現在の証券市場と同じように、「米切手」の先物取引という、まったくヴァーチャルな売り買いとして、まさに生き馬の目を抜くかのごとき大坂商人たちの手で行われていた。このしばしば暴走を繰り返すマーケットに江戸幕府はいかに対処したのか? 大坂堂島を舞台にした江戸時代の「資本主義」の実体を始めて本格的に活写
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
高槻/泰郎
1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。大阪大学大学院経済学研究科前期博士課程、東京大学大学院経済学研究科後期博士課程修了。現在、神戸大学経済経営研究所准教授。専門はミクロ政策分析(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
本当にベストセラーなの?
内容的にはかなりマニアックな内容の書籍となります。定期的に本屋さんにって売れ筋ランキングみたいなのを調査して、その場で購入をしたり、後日別に購入をしたりしているのですが、マニアックな内容だけど、これ、本当に購入した人は全部読みましたか?
私は元々、サラリーマンの時に先物取引のサイトの担当とかになった事もあり、そうした事がきっかけで先物取引の歴史とかも勉強をしましたので、大阪の米一番が先物取引の最初。と言う説もある。と言う事は知っていたのですが、もちろん、細かい突っ込んだ部分の内容については特に知識もなく、この本でその辺りを補強しようと思ったのですが、読む終わるのに、結構な時間を費やしてしまいました。
本書では当時の手紙やお触れ書きなど、当時の文献から、当時の米市場の商人や奉行や幕府がどう対応をしていたの?そうした事を紹介しています。上げ過ぎず、下げ過ぎず、そのバランスを取る為に、幕府が四苦八苦している様子や、少しでも情報伝達速度を早めて、金につなげようとしている商人との戦いも垣間見る事が出来ます。
読み物としては大変興味深いですし、当たっている資料などからも著者の誠実さを感じますし、特定の方向に導く意図も感じない良書になります。ただ、根本的な話、米のチケットを発行して、ありもしない米を元にして金を稼ぐ。と言う手法については疑問を感じますね。現代では特にどうやって新しく金を生み出すか?とそうした事をやっていて、無い所から金を捻り出す事に躍起になっているみたいですが、現代の金融市場で取引をされている総額とか、どこにそんな現金があるの?と言うレベルにまで膨らんでしまっていますからね。むしろ本当に何もない場所から生み出されている仮想通貨の方がすっきりとしていて個人的には好きですね。
良書ではありますが、読む人自体をかなり選ぶ作品となっていますね。ベストセラーの割にはアマゾンでのレビューが少な目となっているのは、恐らくですが、読み終わった人の率が少ないのかな?と個人的には思います。
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