実力も運のうち 能力主義は正義か?

実力も運のうち 能力主義は正義か?
実力も運のうち 能力主義は正義か?

出版社からのコメント
「宗教改革からトランプまで、社会思想からスキャンダルまで、きわめて幅広く目配りし、メリトクラシーが社会に及ぼす問題を深く論じたものとして、本書は抜きん出ている」

――本田由紀(東京大学大学院教育学研究科教授、本書解説より)
「鋭く、洞察に満ち、温かい。今こそ必読の書」

――タラ・ウェストーバー(『エデュケーション』著者)
「右派も左派もみんな本書を片手に着席し、真剣に議論しなければならない」
――ニューヨーク・タイムズ紙

著者について
著者:マイケル・サンデル(Michael J. Sandel) 1953年生まれ。ハーバード大学教授。専門は政治哲学。ブランダイス大学を卒業後、オックスフォード大学にて博士号取得。2002年から2005年にかけて大統領生命倫理評議会委員。1980年代のリベラル=コミュニタリアン論争で脚光を浴びて以来、コミュニタリアニズム(共同体主義)の代表的論者として知られる。類まれなる講義の名手としても著名で、中でもハーバード大学の学部科目“Justice(正義)”は延べ14,000人を超す履修者数を記録。あまりの人気ぶりに、同大は建学以来初めて講義を一般公開することを決定。日本ではNHK教育テレビ(現Eテレ)で『ハーバード白熱教室』(全12回)として放送されている。著書『これからの「正義」の話をしよう』は世界各国で大ベストセラーとなり、日本でも累計100万部を突破した。他の著作に『それをお金で買いますか』『ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業』、編著に『サンデル教授、中国哲学に出会う』(以上早川書房刊)がある。2018年10月、スペインの皇太子が主宰するアストゥリアス皇太子賞の社会科学部門を受賞した。

訳者:鬼澤忍(おにざわ・しのぶ)1963年生まれ。成城大学経済学部経営学科卒。埼玉大学大学院文化科学研究科修士課程修了。訳書にサンデル『これからの「正義」の話をしよう』『それをお金で買いますか』、アセモグル&ロビンソン『国家はなぜ衰退するのか』(以上早川書房刊)、クリスタキス『ブループリント』(共訳)、シャイデル『暴力と不平等の人類史』(共訳)ほか多数。

アメリカをひいては世界をどうやって変えていくか?を考える

長い間、待った。と言う方も多いであろう、マイケル・サンデルの新作になります。都内では入荷をする度に完売。と言う話も聞きましたが、読むのに非常にタフさが求められる内容となっています。果たしてどれ位の率の人が最後まで読んだのでしょうかね?

個人的には、世界史の中でもプロテスタンが発生をしたり、その過程について、かなり弱い部分があり、補う為に学習漫画なんかで、その辺りについて読んでいたのですが、これが大当たり。前半部分については、プロテスタントも含めた宗教的な話が含まれていたので、知らないよりは知っていた方が、話の理解をしやすいと思います。

ファイトクラブ化したアメリカンドリーム

アメリカンドリーム。頑張ればスターになって大金持ち。しかし、このアメリカンドリームがアメリカから消えている。と言う事なのですが、これはもう前からですよね。映画のファイトクラブでもそうしたシーンが描かれています。

『テレビを付ければ、明日には君がスターだ。と言っている。でも、俺たちは気が付いている。それは嘘だって事を。だからむかついている。』こんな感じの台詞が映画の中で登場をしていますが、恐ろしい事に、ファイトクラブはもう20年も前の作品となります。

つまり20年前から、本書で扱われている問題点。と言うのはすでに顕在化をしていて、取り残された人々の中には、屈辱感が充満していたはずです。そして20年が経過をしてどうなったか?ジョーカーにランクアップをしましたね。
こうした表面的な部分については、私でも分かるのですが、本書を読む事によって、様々な事例をまじえながら、理論的に展開をされていくので、論理的に理解をしていく事が出来るでしょう。

日本も実質賃金が上がる所か下がり続けて久しいのですが、日本の場合には、GDPが停滞をしているので、まだ何となくの理解をしやすいのですが、GDPが上昇をし続けているアメリカでさえ、多くの人の賃金が全く変わっていない。可処分所得については減少をSしている状態となります。流石に少し位は上がっているのだろう。と何となく想像をしていたのですが、どうも違ったみたいです。

能力主義と言う名の元に行われている知的好奇心の喪失

個人的には一番問題となっているのは、能力主義を追い求めてる結果、知的好奇心が喪失をしている点ですね。この辺りは別の書籍で内田樹先生の作品で詳しいのですが、英語の学習がより低学年からスタートをしています。文部科学省によると英語を学習する意味は、世界のビジネスの現場で戦い、より多くの賃金を獲得する事。だそうです。

本来、学習と言うものは共通項を身につける為の物であったり、知的好奇心を育む物であるはずなのに、金稼ぎの為。と言うのが日本でも前面に出てしまっています。本来的な教養などではなく、知識をいかに効率的に身に付けるか?しかも、この場合の知識は受験のテクニックの一つであって、ちょっと違う物である違和感を多くの人が気が付いている事ですよね。

共通項ではなく、誰もが本来的にはやりたくないであろう、知識の詰め込み、テクニックの獲得。こうしたやりたくないであろう事を懸命にやったからこそ、能力主義の弊害が出るではないだろうか?ふと、本書を読んでいて、そうした事を思いました。

日本ではどうか?

日本は格差がアメリカ程ではないから、云々。と言う人は、丸で分かっていない。そもそも論として方向性として格差が広がっている最中に自己責任論が出ているのが、もうヤバイでしょう。と個人的には思いますね。

少なくとも、サンデル教授はアメリカにおいて、歪みを正そう。と言う事で、本書を書いているのでしょうが、日本では逆で格差が出てきて当然であり、能力主義の肯定もされている状況になります。せっかく、アメリカが失敗をしてくれたのに、その失敗から学ぶ。と言う傾向が見られないんですよね。

ただ、日本の場合には、アメリカ程の格差が経済的にないのは事実。格差があるのはあるのも事実なんですけどね。ただし、精神的な劣化が激しいですよね。自衛隊の札幌の基地の公式アカウントが完全にネトウヨなのですが、本人達は普通だと思っているんですよね。公務員なんですから、経済的な話で勝敗を付けるなら、勝ち組であろう連中が、カルト宗教の記事を引用してしまう。とかね。

このままの方向性で進んでしまうと、アメリカ以上に金銭的な敗者に対して屈辱感を与えてしまう気がして仕方がないですね。そもそも義務教育の時点で失敗をしているのではないか?と思います。

マウントの取り合いからの解放

本書を読んでいて思ったのが、れいわ旋風ですね。今は大分、落ち着いてしまっているのですが、山本太郎が台頭した当初。人によりけりだと思いますが、個人的に響いたのは、マウントの取り合いからの解放を訴えた事ですね。
人々の威嚇のしあい、そこから派生をする精神の摩耗。

結局、能力主義もそこに行き着くんですよね。サンデル教授の表現方法は違うのですが、中身としては同じなのではないか?個人的には、読んでいてそう思いました。

色々と考えさせれる書籍ですよね。もう何年前でしょうかね?正義の話の書籍を読んで、ハーバード白熱教室も全部みたりしたのですが、マイケル・サンデルの本って、こんなにタフでしたかね?それとも、若い頃は若いんだから仕方がないのですが、表面的な部分を見ていたから、そこまで色々と考えないで読めたから、あまりタフさを感じなかったのでしょうか?

読みながらも、これまでにお前が身につけてきた知識をフル稼働をさせよ。と言うえも言われぬ威圧感を若干感じながら、読む形となりました。

結果として、最後に読んでしまったのですが、解説を書いてくれている、本田由紀さんの後書き箇所を最初に読んでおいた方が、より本書を理解していきやすいと思います。

実力も運のうち 能力主義は正義か?を読んでみよう♪

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