海をあげる(上間陽子)

海をあげる(上間陽子)
海をあげる(上間陽子)

Yahoo!ニュース|本屋大賞2021 ノンフィクション本大賞ノミネート!
第7回沖縄書店大賞 沖縄部門大賞
第14回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞

「海が赤くにごった日から、私は言葉を失った」
おびやかされる、沖縄での美しく優しい生活。 幼い娘を抱えながら、理不尽な暴力に直面してなおその目の光を失わない。ベストセラー『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』から3年、身体に残った言葉を聞きとるようにして書かれた記録。

痛みを抱えて生きるとは、こういうことなのか。言葉に表せない苦しみを聞きとるには、こんなにも力がいるのか。
生きていることが面倒くさい日々が私にあったことは、若い女の子の調査の仕事をしていると、どこかで役に立っているように思う。(……)
あれからだいぶ時間がたった。新しい音楽はまだこない。それでもインタビューの帰り道、女の子たちの声は音楽のようなものだと私は思う。だからいま私は、やっぱり新しい音楽を聞いている。
悲しみのようなものはたぶん、生きているかぎり消えない。それでもだいぶ小さな傷になって私になじみ、私はひとの言葉を聞くことを仕事にした。(「美味しいごはん」より)
ブックデザイン=鈴木成一デザイン室
装画・挿画=椎木彩子

【目次】
美味しいごはん
ふたりの花泥棒
きれいな水
ひとりで生きる
波の音やら海の音
優しいひと
三月の子ども
私の花
何も響かない
空を駆ける
アリエルの王国
海をあげる

調査記録
あとがき

上間陽子(うえまようこ)
1972年、沖縄県生まれ。琉球大学教育学研究科教授。普天間基地の近くに住む。 1990年代から2014年にかけて東京で、以降は沖縄で未成年の少女たちの支援・調査に携わる。2016年夏、うるま市の元海兵隊員・軍属による殺人事件をきっかけに沖縄の性暴力について書くことを決め、翌年『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』(太田出版、2017)を刊行。ほかに「若者たちの離家と家族形成」『危機のなかの若者たち 教育とキャリアに関する5年間の追跡調査』(乾彰夫・本田由紀・中村高 康編、東京大学出版会、2017)、「貧困問題と女性」『女性の生きづらさ その痛みを語る』(信田さよ子編、日本評論社、2020)、「排除II――ひとりで生きる」『地元を生きる 沖縄的共同性の社会学』(岸政彦、打越正行、上原健太郎、上間陽子、ナカニシヤ出版、 2020)など。現在は沖縄で、若年出産をした女性の調査を続けている。

エッセイだから話の幅としては広い作品

本屋大賞にノミネートをされたっちゅーから、読んでみようじゃないですか?と言う事で購入をしたのを覚えています。『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』を筆頭に沖縄県の女性の性について書いていたり、支援をする活動をしているのが著者の上間陽子さんになります。

本書でも、3分の1位ですかね?分量としては、それ位の割合で沖縄の性に関する事が書かれていた印象が残りましたね。それについては後述をします。

まず、娘の話が面白いです。話の幅が広い。と言う事を上の見出しに入れているのですが、概ね娘さんの話がほっこりタイムになります。ここで気分を上げていかないと、読むのが辛くなりますので、読む人は娘の話の部分で充分なリフレッシュをしておいた方が宜しいかと思います。

若い女性特有とも言える悩みにどう対応をするか?これですね。難しいのは。未成年で出産をした女性が本書の中で登場をしています。父親からの性的虐待を受けていた過去があり、メンタルヘルスなどにも通うのですが、施設の方も含めて、親も含めて守ってくれない。これはねー。性的虐待云々の話ではないのですが、当事者が一番ぼけている。と言うのもあります。なので、改善が難しい。

全くの個人の話ですが、近所からの騒音問題で本当に悩んでいましたし、本当に苦しんでいましたし、病気にもなりました。都度、苦情を各方面に伝えていたのですが、誰も厄介事には関わりたくない。と言う事で、基本的には何もしてくれませんでしたよ。完全にブチ切れて、ぶち殺すぞ!位のレベルになって、ようやく関係者がやべー。となって、多少動きがありました。もっと早めにブチ切れていれば、病気にならなかったかもしれない。と思うと、私自身は何も悪い事をしていないのに、自分を責めてしまっているんですよね。他人は一切信用をしない。と言う事で生きていく方が気楽だな。と言う境地が今です。

話を戻して、こちらも改善が難しいのですが、その女性は風俗業界で働いているのですが、女性特有ですよね。店長が贔屓をしている。とかね。これねー、男性からみたってそうですよ。余程の大手企業であれば、ある程度の枠がありますが、中小企業であれば、社長のお気に入りで給料なんていくらでも変わります。本当に仕事の面で給料を測ってくれる会社なんて、ほぼないですよ。そこで贔屓云々を口に出すのは、比率として女性が多いですよね。特に若い女性ほど、その傾向が強いと思いますが、この辺りは社会を平等にするのも無理がありますので、どうしたもんか?と読んでいて頭を悩ませましたね。

後は、普天間基地の問題です。上間陽子さんは必死で抵抗をしていたのですが、埋め立てが開始をされてしまいましたね。『沖縄に基地をおしつけているのは誰なのか?』本文に、こちらの台詞が登場をしています。痛いなー。痛い所を突かれましたね。個人的には、政治家が沖縄の基地負担の軽減を実行してくれる政治家が登場をしてくれれば、そちらを応援させて頂きたいのですが、少なくも自民党ではないですよね。私自身は自民党の支持をしていないので、まだ自分の中ではセーフになるのですが、難しい問題ですね。

トータル的にはエッセイ形式となっているのと、初めて知る事件。と言うのもありませんでしたので、読むのに時間がかかる事はありませんでした。重い内容から、ライトな話まで包括をされている作品でした。

そう言えば、サラッと某ホテルがヘイトホテルと扱われていて、ちょっと笑いました。分かりますし、私自身も、使わないんですけれどね。

著者である上間陽子さんの動画

【タイムスオンラインイベント】沖縄コロナ禍の女性はいま
【オーディオブック/朗読】裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち

海をあげる(上間陽子)を読んでみよう♪

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