安楽死を遂げるまで(読むべき作品)

安楽死を遂げるまで
安楽死を遂げるまで

あなたの生き方を変える。
世界の医療現場で、安楽死合法化の気運が高まっている。超高齢社会を迎えた日本でも、昨今、容認論が聞こえてくるようになった。しかし、実態が伝えられることは少ない。
安らかに死ぬ――その柔らかな響きに、欧州在住の筆者は当初懐疑的だった。筆者は、スイスの安楽死団体でその「瞬間」に立ち会い、またはアメリカやオランダで医師や遺族と話を交わすなかで、死に対する考えを深めていく。
文庫解説で武田砂鉄氏はこう書く。
<本書から繰り返し聞こえてくる著者の吐息は、安心感なのか戸惑いなのか疲弊なのか、読者はもちろん、それは著者自身にも分からないのではないか。死にゆく様を見届けた揺らぎが、そのまま読者に届く。読んで、同じように揺らぐ。目の前に広がった死の光景をどう受け止めればいいのだろうか>――
読後、あなたは自らに問うはずだ。私はどう死にたいのか、と。
第40回講談社ノンフィクション賞受賞作にて、日本で安楽死議論を巻き起こすきっかけとなった衝撃ルポルタージュ。
【編集担当からのおすすめ情報】
文庫化に際して、筆者は、単行本の登場人物たちの「その後」を取材しました。遺族や医師はいま何を思うか。後悔していないか。日本でも関心が高まる安楽死について、賛成か反対かの二項対立では収まりきらないない、新たな姿を紡ぎ出します。

安楽死を遂げるまで (小学館文庫 み 20-1) 文庫 – 2021/6/7

安楽死と向き合う、と言う事

こちらの作品は『安楽死を遂げるまで』になります。続編となる『安楽死を遂げた日本人』も先日、文庫化をされたばかりですね。かく言う私も後者の作品のみを購入しよう。と書店にいきまして、小学館文庫から探しだし、購入をしたのですが、間違えてこちらの作品を購入となりました。タイトルも表紙の構造も似ている形になりますので、皆さんはお間違いないように。

と言うのも、扱っているテーマとして、タイトルから推測をする事が出来ますが、非常に重いですよね。続編も含めて2冊も読むとなりますと、精神エネルギーに非常に負荷が掛かります。事実、今回の書籍を読むのに、時間も掛かりましたし、読んでいて、あれこれと色々と考える事が多く、読み終わった後には、疲労感が残りました。

続編であり、当初購入を予定していた 『安楽死を遂げた日本人』 についても、すでに購入済みとなるのですが、2冊か3冊、ライトな本を入れて、もうちょっと時間を置いてから読み始めたいと思いますが、すぐには難しいですね。解説に武田砂鉄氏が登場をしていますが、解説を依頼されて、今作を読み、すぐに続編を購入して読んだ。と言う事が書かれていますが、そのエネルギーが羨ましいですね。

さて、本題ですが、タイトル通り、本作は安楽死の現状(当時)を著者である宮下洋一さんが、実際に安楽死を施している団体の代表を通し、実際に安楽死が行われた現場。行われる前に安楽死を希望される方の取材をしている作品となります。

著者である宮下洋一さんの心の動きも良く現れていますが、読む人によって勿論受け止め方が変わるのは当然でしょうが、私自身は宮下洋一さんと逆パターンになりますので、それを書いておきたいと思います。

幼少がアメリカでそれから日本

著者である宮下洋一さんは18歳以降、海外で暮らしている方になります。ベースにあるのが日本人的な価値観で、欧米諸国の個人的な価値観も理解をしているけれど。と言う感覚ですね。

逆に私自身の場合には、アメリカに幼少の頃に住んでいまして、ベースが個人的な価値観です。以降は日本に住んでいますので、日本人的な価値観についても理解はしていますが、根本的には自分の中では個人主義が強いですね。

小学生の4年位の頃に日本に帰国をして、何となく覚えている自分の中で驚いた事は、運動会の組み体操ですかね。今のアメリカも含めて、当時の他の地域の学校など、自分では知らない事も多いのですが、記憶の限りでは、あのように集団で同じ行動をさせる。と言うのはアメリカの学校ではなかったと思います。勿論、チアリーダーとか、部活動では他人と同じ行動を取る事を練習する活動はアメリカでもありますが、皆で同時に。と言うのは国家斉唱ぐらいでしたかね。

私自身は学者でも何でもないのですが、日本の場合、学校は兵隊を育てる為の場所。として作られた経緯がありますので、皆と同じ行動を取る。と言う練習を子供のうちから刷り込むのが日本式であり、それが周りに合わせていく社会性になるのかもしれません。それが全体として良い事なのか?悪い事なのか?私には分かりません。ただし、日本での安楽死への現時点での導入については個人的には反対です。

著者の宮下洋一さんが、度々日本で過ごした自分と欧米人の価値観の違いに戸惑っているシーンが描かれているのですが、何となく自分と宮下洋一さんの価値観が違う事に気がついたのですが、普段意識をする事はないのですが、育った環境が違ったのが要因かもしれません。価値観自体は違って当然なのですが、本質的に違う。と言う感覚ですかね。上手く言えないのですが、多くの人は宮下洋一さんの価値観に近いのではないでしょうか。

積極的な安楽死の日本での導入は現時点では反対

本書の内容自体とは関係がないのですが、私自身は現時点での積極的な安楽死については、反対です。日本の場合には、すでに本書の言葉で言えば、消極的な安楽死は行われています。例としては、脳死状態の場合には生命維持に必要な装置を止める。などですね。

この辺りに関しては、私自身、親類が事故で脳死となりまして、実際に装置の停止が行われました。有難い気持ちもあったのですが、そこまで配慮をする必要があったのかな?と疑問にも思ったのが、土日に葬式が出来るように、逆算をして装置の停止をした事ですね。

他にもホスピスで最後を迎えた親類もいたり、相当な長生きをして、周りに当たり散らして晩年を迎えた祖母もいたりと、それなりに近い方の死をを迎えてきました。いずれは自分の番ですね。

私としては、安楽死自体はあって欲しいです。ただ、日本ではまだ早い。解決をして頂きたい事がありますね。それはズバリ、同調圧力です。本書を読んでも、欧米での安楽死が中心に書かれているのですが、欧米とアジアでは、家族の関係が違う。と言う点もあると思います。

例えば

『死は個人のものなのか』、それとも『死は集団や社会のものなのか』

本書306ページ

とあります。著者である宮下洋一さんは、後者に馴染みを感じているのですが、私としは前者なんですよね。ただし、日本では後者になるであろう。と言う事は理解をしています。

そして、それが日本人に良く見られる同調圧力に繋がる一つの要因になると思います。全ての国の事は当然私には把握をしていませんので、同調圧力が強い国が他にもあるかもしれません。でも、間違いなく日本にもありますよね。

この同調圧力の強い状態で日本で欧米のような積極的な安楽死を導入した場合に、どう言った事が想定をされるか?あいつはお前と同じ病気で安楽死を選んだのに、何でお前は安楽死をしないの?

絶対にこうした雰囲気が出てきます。本書の中でも、橋田壽賀子さんが例として登場をしており、これ以上周りに迷惑をかけるようであれば、安楽死を選びたい。と言うような事が書かれていますが、本書で登場をしている安楽死を選んだ人のケースでは自己であり、他者についてはあまり書かれていません。

他者への配慮。と言う言葉だけで言えば、綺麗な言葉に思われるのですが、確実に拡大をされていくのは目に見えていますので、非常に日本での安楽死導入は危険性を感じてしまいますね。

安楽死をとげるまでを読んで

上にも書いていますし、繰り返し嘔吐をするかのような文章になってしまっていますが、非常にタフさが要求をされる書籍になります。実際に目の前で安楽死が行われる現場を目撃してきた宮下洋一さんに関しては、もっと精神的なダメージが大きかった事は容易に想像が出来ると思います。

フランスの人口学者である、エマニュエル・トッドが、日本人はもっと色々といい加減になって良い。と言う事を言っているのですが、本当にそうですよね。安楽死自体はいずれ日本でも導入をして頂きたい。とは思いますが、そこに辿り着く為には、もっと日本人自体が他者との関係をルーズにしていく必要性があると思います。俺の為に死ぬな。と言う発想を捨てていく必要がありますよね。

それが現代の日本人的な価値観なのか?と言われるとやはり違うでしょうからね。難しい問題です。結論としての具体的な考えは出てこないのですが、これまでに何となく考えた事があるテーマでしたが、自分の中である程度以上に真剣に他者の話を聞き、実際の事例を知る事はありませんでしたので、咀嚼をするのに時間の掛かる問題だと思います。

最後に、本書で度々登場をしている、 ライフサークルの代表であるエリカ・ ブライシックが脱毛症で橋本病で骨粗鬆症になってしまったみたいです。橋本病はありませんが、それ以外は私と同じではないか。ようこそ!ブライシック!

本書の中で紹介をされている書籍。また、安楽死を迎える方が聞かせてくれ。と言った音楽や実際にモデルとなって制作をされた映画のトレーラーなどを、せっかくなので下に配置をしておきます。それ以外にも、著者である宮下洋一さんが、本書を作成するに辺り、参考にされた書籍はありますが、それについては本書を購入して頂き、参考文献のページを参照して下さい。

作中で登場をしている音楽

作中で登場をしている曲や動画を紹介しておきます。登場をしたら、ちょっと気にとめて頂いて、見たり聞いたりして頂ければ、作中の話をより幅広く理解をして頂やすくとなると思います。

It Was A Very Good Year (Remastered 2008)
How to Die in Oregon (2011) [Trailer]
海を飛ぶ夢

こちらの作品については、下でも紹介をしている作品、『Cartas Desde El Infierno/letters from Hell』を映画化している作品となります。

作中で登場をしている書籍

作中で登場をしている書籍を紹介しておきたいと思います。より深掘りをしていきたい方でしたら、読んで頂くのが良いのかな?と思います。断りがない場合には、飛び先はアマゾンになっています。

Dad, you are allowed to die』と言う書籍、序盤から最後まで登場をしているライフサークルの代表であるエリカ・ ブライシック による著作となります。全文英語のみとなっていて、翻訳は出ていないと思います。

Cartas Desde El Infierno/letters from Hell』、こちら作中では登場をしない方。もうすでに亡くなっているからですね。そちらの自伝の書籍となります。

いのちの器』については、高山文彦さんの書籍となっていて、安楽死をした医師として登場をしている日本人医師の傍聴席から高山文彦さんが聞いて書いていった作品となります。

私がしたことは殺人ですか?』こちらの作品は医師として安楽死。つまり、このケースの場合には、殺人として警察から捜査をされらり裁判が行われた須田セツ子氏本人の作品です。作中でも取材を受けています。

安楽死を遂げた日本人(小学館文庫)を読みました

安楽死を遂げた日本人(小学館文庫)

後編とも言えるべき作品でした。今作を読んだ方は、是非とも上記の作品についても読んでみて下さい。

良かったら買ってね♪

【電子書籍/コミックの品揃え世界最大級】ebookjapan(イーブックジャパン)

初月無料!雑誌やマンガ、さらに「るるぶ」が読み放題!【ブック放題】

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください