災害特派員(三浦英之)

災害特派員(三浦英之)
災害特派員(三浦英之)

人を殺すのは「災害」ではない。いつだって「忘却」なのだ――。
東日本大震災から10年。あの日、津波被災地の最前線へと送られた「災害特派員」は何を見て、何を感じたのか。

地震発生の翌日に被災地に入り、目撃した「惨状」。
その後、「南三陸駐在」として現地に赴任し、人々と生活を共にしながら感じた、記録者としての「葛藤」。
そして、戦友とも言えるカメラマンの「死」……。

朝日新聞の現役記者であり、気鋭のルポライターとしても知られる筆者が綴る、3・11、もう一つの「南三陸日記」。

■目次
序章 答えられなかった質問の答え
第一章 地図のない町
第二章 社会部員たちとの夜
第三章 赴任命令
第四章 南三陸町長の強さと弱さ
第五章 戸倉小学校と戸倉中学校
第六章 異端児の挑戦
第七章 新しい命
第八章 ライバルとの食卓
第九章 警察官の死
第一〇章 ジャーナリズムとは何か
第一一章 最後の写真
あとがき

三浦英之さんの記者としての半生

これまでにも、結構読んでいる作家さんの一人が三浦英之さんになります。タイミング的には五色の虹から入っているので、その手前に出版をされている『南三陸日記』については、現時点では読んでいません。存在を知ったタイミングで、すでに何年か経過をしていたので、今更知りたくない。と言う部分も自分にはあったのかもしれませんね。

前作となる『白い土地 ルポ 福島「帰還困難区域」とその周辺(三浦英之)』にて、再度、被災地が取り上げられていますが、そこに加えて、当時の手記をベースに構成をされているのが本書である『災害特派員』になります。これまでにも『牙: アフリカゾウの「密猟組織」を追って』、『日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか』、前述をしているように、『五色の虹』についても読んでいるのですが、本書の中でも、どう言ったタイミングで執筆をしてきたのかも、少しですが触れていて、これまでに三浦英之さんの書籍を読んできた人であれば、豆知識的な形で知る事が出来る形になります。

上述をしていますが、『南三陸日記』については未読となっていて、恐らくはそちらにも記載をされている事も多いのですが、当時の被災地で何があったのか?想像をしていけば分かる内容にはなるのですが、現場で実際に見てきた方の話。と言うのは、やはりリアルさが違いますね。

読んでいて気持ちの良い物ではないのですが、多くの人に読んで貰いたい作品ですね。著者である三浦英之さんの書籍については、再三書いているように、結構読んでいます。ただ、歴史的なジャンルとしては、五色の虹以外は、個人的にはそこまで興味のあるジャンルではないのが正直な所になります。

それなら、何で読んでしまうのか?その辺りを本書を読んでみて、ようやく気がついたのですが、三浦英之さんって正直なんですよね。ダサい部分も卑怯な部分も、サラリとドロリと書いているんですよね。サラリだけだったら、ちょっといけすけない印象を持ってしまうのですが、ドロリも加えて書いてくれていますし、本書の中では、これまでの作品と比較をして、葛藤をしているシーンが多くなります。テーマがテーマになりますので、当たり前かもしれませんが、葛藤をしている人に、個人的には惹きつけられるのかもしれません。

『南三陸日記』もねー。読まないとですよね。そこでどう言った事が起きたのか?想像をすれば分かる範囲なのかもしれませんが、そんな大変な事が起きた時、自分は当時、何をしていたのか?そう言う部分を思い出してしまうので、どこかに自分の中で避けたい気持ちが強く残っていたのかもしれません。当時は私自身も20代。今は40近いので、振り返りたくない過去の自分を乗り越える良いタイミングなのかもしれません。

三浦英之さんって、色々な知りたくなかった部分も含めて、嫌な事を教えてくれる記者ですよね。だから、これからも読むと思います。

災害特派員(三浦英之)を読んでみよう♪

併せて読んで貰いたい書籍

今回紹介をしている『災害特派員』の前編と言いますか、連動性が高い作品が上記の作品となります。元々は単行本でしたが、文庫化をされています。形としては、あとがきも結果として追加をされている形になりますので、単行本と文庫本。両方が販売をされているのであれば、文庫の方を購入した方が良いと思います。

著者である三浦英之さんの処女作となっているのが、上記の『五色の虹』になります。舞台が今作とは全く違いますので、興味関心が、今作はあるけれども、上の作品については、ないかな?と思う方も多いかもしれませんが、間違いなく名作だと思います。

三浦英之さんの本を読まれた方がいましたら、是非とも感想を教えて下さい。

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