手長姫 / 英霊の声(三島由紀夫)

手長姫 / 英霊の声
手長姫 / 英霊の声

【没後50年、新・三島由紀夫】
三島由紀夫が短篇に掬いとった昭和の翳、日本人の顔。新潮文庫初収録の傑作9篇!

【本書について】
三島由紀夫が13歳で初めて書いた小説は、童話的な作品「酸模(すかんぽう)」。敏感な主人公の視線が吸い寄せられるのは刑務所から脱走した囚人だった。微かな不安と世界に対する感性が感じられる短篇だが、発表されたのは、日中戦争が本格化していく時世。同年、ナチスの青少年団「ヒトラーユーゲント」が来日している。そのような時代に、三島は創作活動をスタートさせた。
本書は、1938年(昭和13年=13歳)から、1966年(昭和41年)の代表作「英霊の声」まで、知られざる名短篇や巧みな恐怖小説、超短編など9篇を精選、年代順に配置した短篇集である。
終戦直後に最愛の妹を亡くし(享年17)た三島は、号泣した。3年後、1948年(昭和23年)に発表したのが、兄と妹の異様な物語「家族合せ」である。その3年後、マッカーサー元帥が解任され、日本が主権回復に向かう1951年(昭和26年)、心を病んだ女の哀しみを描いた「手長姫」を発表した。この年は、ラジオ放送による第一回紅白歌合戦が放送され明るい話題の多い年だったが、同年発表の「携帯用」は、そのラジオを小道具にした、追い詰められた男の物語である。
三島を大ベストセラー作家にした『潮騒』は1954年(昭和29年)刊行だが、同年11月、同じ海をモチーフとしているのに、ひどく空虚な味わいの「S・O・S」を発表した。『潮騒』とは正反対の、爽やかさなど1ミリもない傑作である。 円熟の三十代からは切れ味鋭い短篇「魔法瓶」「切符」を収録。そして自死の4年前(41歳)の「英霊の声」。この作品が発表された1966年は、ビートルズ来日で日本中の若者が熱狂した年だが、その昂奮に冷や水をさすがごとく、「英霊」を作中で召喚してみせた。
時代にうまく乗り切れず、社会の外に弾き出される人物を描き、その違和感に稀有な文学性を与えてきた三島由紀夫。昭和という時代に寄り添い、その翳を掬いとった天才の目を味わうことができる九篇は、すべて初の新潮文庫化である。

【目次】
酸模―秋彦の幼き思い出…13歳
家族合せ…23歳
日食…25歳
手長姫…26歳
携帯用…26歳
S・O・S…29歳
魔法瓶…37歳
切符…38歳
英霊の声…41歳
解説:保阪正康

【本書収録「酸模」冒頭】
「灰色の家に近寄っては不可(いけ)ません! 」
母親は、其の息子、秋彦にいいきかせた。
秋彦の家の傍にはなだらかな丘が浮んででも居る様に聳えていた。樹木が少くもないのに、全体が薄紅色に映えて見えるのは其処に酸模の花が、それから少いけれど草夾竹桃(フロックス)のやや薄い臙脂(えんじ)とが零れる様に敷きつめてあったからであろう。けれども、そこに有ってはならない一つのもの(それは確かに辺りの風景を毀(こわ)して居た)が、丘の真ん中にどっしりと頑固に坐って居た。……
三島由紀夫(1925-1970)
東京生れ。本名、平岡公威(きみたけ)。1947(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。1949年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、1954年『潮騒』(新潮社文学賞)、1956年『金閣寺』(読売文学賞)、1965年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。1970年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。ミシマ文学は諸外国語に翻訳され、全世界で愛読される。

天皇陛下は何故人間になったのか?

三島由紀夫の短編小説を集めた書籍となります。没後50年。と言う事で、新装版が発売をされたので、書店で見かけた人も多いと思いますが、ちゃんと読んだ事がないので、これを機会に読んでみました。

これまでに三島由紀夫で言えば、不道徳教育講座ですかね。読んだ事があるのはそれ位で、石原慎太郎との対談本は読みましたが不道徳教育講座についてはエッセイであって、小説ではないですね。

個人的な感想としては、サッパリと分からないのが多かったです。誰か手長姫のおちについて教えて下さい。読んだのですが、サッパリと理解出来なかったです。なんで、ここで終わるのか?そもそもなんで手長姫が自首をしているの?これ、文章が欠落をしているのか?とさえ思える程でした。

書籍のタイトルにもなっているように、こちらの手長姫と英霊の声が、今回収録をされている中でも代表作になりますかね。手長姫については、上述をしているように、最後のおちが全く理解をする事が出来なかったのですが、英霊の声については内容については理解出来ました。

本当の意味で理解をしているか?と言われたら、苦しいのですが、取りあえず、盲目に川崎君が可哀想でしたね。英霊の声を出す為のスピーカーの役割までさせられた末に死んでしまう。とか、川崎君が可哀想だし、英霊もひどい奴らだな。と思える感じでした。

ただ、怨念ですよね。天皇陛下は、何故人間になったのか?この点ですよね。後世の評論家がこぞって、三島由紀夫の事を考えると、不満を持っていたのではないか?と言った感じで、喧々囂々と議論をされている箇所になります。

三島由紀夫の文学の魅力はやはり文章の綺麗さでしょうね。ともすれば婉曲的で周りくどい言い回しで読んでいて疲れる。と思ってしまうのですが、これはこれで、頭が相当良い人ではないと書けない文章。と言う事だけは理解出来ました。

花ざかりの森についても現在進行形で読んでいるのですが、面白いか面白くないか?と言う点だけで言えば、すげーつまらない。と言うのが個人的な感想でして、三島由紀夫を一度ちゃんと読んでみよう。と考えていたのですが、2冊で終わりですね。

手長姫 / 英霊の声(三島由紀夫)を読んでみよう♪

三島由紀夫の本人の声で朗読をされた英霊の声

英霊の声 三島由紀夫と楯の会 (EP完全復刻版)

三島由紀夫の出たがり屋さんぶりが発揮をされていますね。

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