世界の紛争地に生きる人々の姿を描く5冊。それぞれの本が伝えるのは、戦争の影にある個人の生活、理不尽な国際政治の現実、そして医療や文化を通じて紛争を超えようとする人々の奮闘です。白川優子が看護師として対峙した命の現場、エマニュエル・トッドが分析する西洋の転換点、内藤正典と三牧聖子が問うガザ危機の二重基準——これらの視点は、私たちの世界を見る目を大きく揺さぶります。そして、岡真理によるパレスチナの緊急講義、いとうせいこうが見た「国境なき医師団」の活動は、紛争のただなかで希望を紡ぐ人々の姿を映し出します。これらの本を通じて、私たちは遠いと思っていた地で起きている現実と向き合い、自分たちの立場を問い直すことになるでしょう。
📚 世界の紛争地を考える5冊 📚
『紛争地のポートレート 「国境なき医師団」看護師が出会った人々』
著者: 白川優子 内容: 国境なき医師団の看護師として、紛争地で出会った人々の姿を描くリアルな記録。 🔗 Amazonで見る
『西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか』
著者: エマニュエル・トッド、大野舞 (翻訳) 内容: 西洋の衰退を鋭く分析し、日本と世界の未来を考察する一冊。 🔗 Amazonで見る
『自壊する欧米 ガザ危機が問うダブルスタンダード』
著者: 内藤正典、三牧聖子 内容: ガザ危機を通じて、欧米の国際政治の矛盾を鋭く問い直す。 🔗 Amazonで見る
『ガザとは何か:パレスチナを知るための緊急講義』
著者: 岡真理 内容: パレスチナの現状を理解するための必読講義。 🔗 Amazonで見る
『「国境なき医師団」をもっと見に行く ガザ、西岸地区、アンマン、南スーダン、日本』
著者: いとうせいこう 内容: 紛争地で活動する「国境なき医師団」の現場をさらに深く知る一冊。 🔗 Amazonで見る
✅言い逃れの出来ない西側陣営の欺瞞が噴出
今回紹介をする5冊のうち、ウクライナに焦点を当てている作品はエマニュエル・トッドの『西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか』のみとなっています。他の作品のうち、ガザに焦点を当てているのが2冊。紛争地。と言う場面にてガザを別角度で焦点を当てている作品をいとうせいこう氏が、国境なき医師団として、これまでの紛争地の事を描いているのが白川優子氏の作品となります。
少し、幅としては広くなってしまっているのですが、私個人としては西側陣営による押しつけがましい拝金主義との闘い。と言うテーマになるのかな?と思いました。記事タイトルはAIの力を借りながら、『最前線からグローバルな権力闘争へ:西洋の衰退の時代における紛争の理解』と少しカッコイイ形にして貰いましたが、西洋の衰退は、もう誰が見ても分かる事ではないでしょうか?
ウクライナへのロシア進行
話としては、ウクライナがロシアへの進行をした時点から始める事になるのですが、これには前日譚とも言えるべき内容が盛り沢山となります。当然ながら、プーチン大統領も、あ!ウクライナへ進行しよう。と突然なった訳ではなく、それまでの積み重ねがあつた上での進行になります。
その辺りについてはエマニュエル・トッドの書籍にも書かれている内容になるのですが、西側陣営がひたすらと挑発をしていた。と言うのが分かります。覚えている方も多いと思いますが、対比をして数が少ないから許される。と言うものでは決してありませんが、ロシアが民間人を数十人を殺害をしたら、これは大虐殺だ!と西側陣営のメディアは騒いでいました。
ガザにスポットが当たり二枚舌が発揮
そんな状況下において、ハマスが民間人を人質に取る軍事作戦を強硬。これについては初めから民間人を犠牲にする作戦であった為に、議論の余地なくハマスの作戦は避難をされるべきものでありましたが、国際法違反を継続してきたイスラエルを批判していたメディアがあったのでしょうか?
現にアメリカのメディアではイスラエル軍のガザでの虐殺については、なるべくソフトな言葉での言い方への変更を奨励し、露骨な表現を避けるようにジャーナリストへの通達が行われました。自由の国であるはずのアメリカでイスラエルに対してのみ、許される行為としてパレスチナ人への虐殺を見ても、ほとんど止めるような事はなく、学生がパレスチナの応援をしたら大学への助成金を打ち切ったり。と完全に言論封殺の色あいを帯びてきました。
かねてから、トランプ大統領については、その前のタイミングでの大統領の期間に戦争をしなかった近年では数少ない大統領ともてはやす言論がありましたが、イスラエルの首都をエルサレムに変更をさせたり、いざとなればアメリカは黙っている。と言うサインを出していて、現在のガザの悲劇を起こす為の爆弾を仕掛けていたのを、もっと多くの方に知って頂きたいです。
現実としてトランプ大統領が出した案としては、パレスチナ国家の解体を前提とした、沿岸部にリゾートホテルを建てて、富裕層を招き入れ、そこにパレスチナ人を働かせれば良い。と言う傲慢極まりない発言でした。彼が戦争をしない平和的な大統領では決してない事を分からない人は私から見たら異常です。
本ページ内では紹介をしていませんが、『ゴーマニズム宣言 ウクライナ戦争論2』でも、論調としてはロシアが国際法を順守しない、法の抑制がきかない人治国家と言う書かれ方をしていましたが、ガザでのイスラエルの空爆が始まり、ロシアなんて可愛い物ではないか?と対比をしてしまうと、どうしてもそう思えてしまうレベルに達すると、ウクライナ戦争のはずが、統一教会の話にスライドをさせて作品として終わりを迎えます。どういう理屈を出してもイスラエルと言う国家を擁護をする事が困難である事の現れになりますね。
ちなみに紹介をしている作品の著者である岡真理氏の事を左翼学者と言う方がおりますが、それでは中立及び右翼学者はパレスチナ・イスラエル問題をどのように捉えているのでしょうか?ハマスの事をテロリスト集団として扱っているのですが、選挙の上で選ばれた政権である事は事実となっています。それは、いとうせいこう氏の著作の中で描かれているのですが、ガザは閉じられた空間で、水を浄化する為の施設の電気も不十分で、常に不衛生な空間での生活を余儀なくされ、(イスラエルに電気を止められている状況だった)ドローンが常に飛び回り監視をしている状態で、抗議運動を行うと、ダムダム弾が足に向けて打ち込まれて、骨を粉砕骨折させるものとなります。
そうした状況下での国境なき医師団での活動を記したのが、白川優子氏の作品となります。今回紹介をしている白川優子氏の作品、ガザを中心に扱ったものではなく、他の広い地域も扱われているので、紛争地。と言うのを理解する上ではどんな事が実際に治療の現場で行われているのか?を理解する上で非常に貴重な書籍になりますので、是非とも読んで貰いたい作品となります。
西側陣営の敗北
『自壊する欧米 ガザ危機が問うダブルスタンダード』、『西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか』では、西側陣営の行く末の予見が書かれています。この書籍の中では、エマニュエル・トッドはウクライナの敗北を。と言うか、誰もウクライナが軍事的な勝利を手にする。とは思っていなかったと思いますが、その理由を説いてくれていて、実にこれが的中をしています。
『自壊する欧米 ガザ危機が問うダブルスタンダード』、では、当然ですがウクライナでは、武力によって!と西側陣営は言いながらも、イスラエルになると態度が豹変をする西側陣営。と言いましても、今、この記事を執筆をしている時点では、かなり西側陣営の中でも割れてきていますね。
ウクライナでの戦争については、グローバルサウスはどちらにも組みしない。と名言をして、結果としてロシアへの経済制裁は本来の威力を発揮せず、ロシア経済は数ヶ月で破綻をする。と言っていた識者もいましたが、全部外れました。イスラエルのガザへの必要以上の度を越した虐殺行為に対して、イスラエルとの国交を停止する西側陣営も出てきている状況です。
国連での事前調査において絶対に上手く行かない。と言う報告を受けていたにも関わらず、シオニズム運動を利用して、ナチスによって拘留をされていた難民をイスラエルへと入植をさせる。と言う行動を後押しした英国と米国は最後まで責任の所在を明確にさせない為にもイスラエルを擁護するでしょう。その結果として、よりアメリカの国際社会における立場の転落が加速をしていきそうですね。
今回紹介をしている書籍であれば、エマニュエル・トッド氏の作品に限り、ある程度の事前の知識が必要かもしれませんが、その他の4冊については、事前の知識が一切不要で読む事が出来る内容となっています。国際情勢を見る目を養い、自分で思考をする力。起こっている事への想像力を育む為にも、是非ともお読みください。
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