狂気の時代――魔術・暴力・混沌のインドネシアをゆく(インドネシア好きにお勧め)

狂気の時代――魔術・暴力・混沌のインドネシアをゆく
狂気の時代――魔術・暴力・混沌のインドネシアをゆく

『黒い迷宮』『津波の霊たち』で絶賛され、日本記者クラブ賞特別賞に選ばれた英記者のデビュー作。1990年代、スハルト体制崩壊と前後してインドネシア各地で起きた騒乱をルポ。民族紛争と人肉食、デモ隊と軍の衝突、東ティモール独立派ゲリラへの潜入、住民投票の行方――ミャンマー情勢にも通じる「魔術と混沌の国」の姿とは? 英「タイムズ」東京支局長として東京五輪を巡る報道でも耳目を集める知日派ジャーナリストの原点。
目次
プロローグ 1996年バリ島で見た不吉な夢
第1部 恥に近い何か―1997~1999年 ボルネオ島(若者たちがすること;最高の人々)
第2部 放射する光―1998年 ジャワ島(クリスモン;狂気の時代;魔術に頼らない強さ;ジャカルタ略奪)
第3部 サメの檻―1998~1999年 東ティモール(クロコダイル;ファリンティル潜入;吸血鬼の町;自由の鷲;平たい峰;国連施設の敷地―コンパウンド;井戸のなか)

凄い作品

『津波の霊たち』の作品が有名なリチャード・ロイド・パリーの作品となります。津波とタイトルにもあるように、そちらの作品は福島の取材をした書籍となります。個人的には未読となり、今作の『狂気の時代――魔術・暴力・混沌のインドネシアをゆく』が著者の作品として初めて読む作品となります。

福島の件については、著者の思いみたいなのが、以下の記事になっているので、興味がある人は読んで頂ければと思います。

ルーシー・ブラックマンさんの事件を扱った書籍の紹介をしている、本人出演の動画がありましたので、以下に紹介をしておきたいと思います。

今作は、そんなリチャード・ロイド・パリー氏の最初の作品の翻訳となります。福島の書籍に関しては、日本での出来事となりますので、翻訳も早くに行われており、その他にもルーシー・ブラックマンさんの書籍についても翻訳をされているのですが、タイミングとしては、今作が著者の処女作となっています。

タイミングとして、遅れての翻訳となっているのが惜しい点になりますね。書かれている事の多くが、大分前の話となりますので、タイムリーと言う視点で読む事は出来ないです。

また、本章はインドネシアを舞台にしているのですが、三部作の構成となっています。当然ながら、根底の部分では共通をしている箇所があるのですが、それぞれが舞台となっているのは、インドネシアの中でも別の場所となります。

はっきりと舞台も分かれていますし、個人的には読んでいて、そもそも知らない人名なども登場をしていて、事前に軽く知っているだけで、本書を読んでいても、もっとスムーズに読めたのかな?と思える箇所もありましたので、そうした情報もまじえながら、本書ご紹介と感想を書いてみたいと思います。

民族同士の争い・カニバリズム

中々にえぐい話となります。これがテレビも何も、現代の技術を一切享受をしていない部族の話であれば、まだ理解可能となるのですが、イギリスのサッカーチームを応援している人達。必然的に、世界的に今はモラルがこんなものであろう?と言う推測が出来る状況にある人達が、こんな事をするんだ?と思える内容です。

行き着く先に馴染みは持てないのですが、ある種の集団ヒステリーが起こっている状態のカオスな話です。この辺りについては、以下の書籍となる、『民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代』と似通っている部分があるのかな?と思います。そこに、それまでの文化風習がスパイスをされた結果が、、、ま、詳しく本章を読んで頂ければ分かりますし、もう見出しにカニバリズムと書いているので、想像と言うか、分かるかと思います。

民衆暴力―一揆・暴動・虐殺の日本近代(良書!お勧め!)

これが冒頭部分の章となります。

中心はスハルトの失脚する前後の混乱

スカルトから権力を掌握をした、二代目のインドネシアの大統領となる、スハルトの失脚の前後が書かれています。一部での暴動が起こっていたりするのですが、最初の民族間での一方的な殺戮と比較をすると、暴動レベルについては、極めて温和に思えましたね。もう感覚が麻痺をしたのかもしれません。

メインとなっているのは、スハルトにスポットが当てられている、失脚についてですが、二章目の冒頭部分のいくつかの箇所にて、インドネシアで行われた虐殺についての事が記載をされています。本章では、この辺りについては、特別に深掘りをされていないのですが、個人的にはインドネシアに多少の縁とゆかりがありまして、以下の『インドネシア大虐殺-二つのクーデターと史上最大級の惨劇』なんかも読んでいまして、そちらの書籍で、この辺りのインドネシア虐殺については詳しく書かれています。

東ティモール独立までの過程、そして行われる恫喝と虐殺

この辺りの東ティモールについては、タイムリーに当時は高校生とかだったと思いますが、何となくテレビなどで、なんかすげー事が起きているらしい。と言う記憶はありましたね。その当時、特別に調べてもいなければ、その後についても調べたりしていなかったのですが、東ティモールについては、結局独立をしています。

この辺りがちょっと古い情報になっていますね。読みながら、おいおい、東ティモールどうなるんだよ?と思っていたら、もうとっくに独立をしています。となりますし、本書では唐突に、知っているでしょう?と言う感覚で名前が登場をしているのですが、『シャナナ・グスマン』、『ジョゼ・ラモス=ホルタ』、この辺りを事前に分からない方であれば、以下のWikiなんかを見て頂いてから、読んで頂いた方が、作品をより理解して楽しむ事が出来ると思います。

その他、事前知識が私と同じ位で、東ティモールの場所位は知っているけれど、それ以上の事は分からない。と言う方は、サンタクルス事件についても本書を読む前に事前知識としてサラッと読んで頂いた方が良いかもしれません。

本章では、東ティモール独立の過程で行われた独立を指示するか?インドネシアからの自治に投票をするか?と言う選挙の過程が描かれています。淡々と、すんなりと選挙が行われた訳ではなく、インドネシア国軍が付いている民兵が独立派であったり、住民に対しての暴力が描かれています。選挙が公正に行われる為に派遣をされた国連の組織がいる中で平然と行われていた。と言う事実。そしてそんなに昔の話では決してない事に驚かされますね。

本章の中では、最もページ数が割かれている章になるのですが、それについては著者であるリチャード・ロイド・パリー氏が、現地滞在をして、実際に暴力を目の当たりにしている点が大きいと思います。書かれている内容からすると、衝撃度であれば最初の章のカニバリズムの方が大きいのですが、その結果についてはリチャード・ロイド・パリー氏も見ているのですが、その瞬間。と言うのを目撃している訳ではないので、当事者としてこの章が一番大きく割かれているのも理解は出来ますね。

全体を通して

リチャード・ロイド・パリー氏の著作を読むのは今作が初めてになります。すでに日本語訳をされている他の作品ではどうなっているのか?全く分からないのですが、こちらの書籍では写真が一枚もありません。書籍に登場をしている残酷なシーン。と言うよりも、現場がどうなっていたの?インドネシアのジャカルタであれば多少の想像は出来るのですが、最初と最後の章に登場をしている場面については、馴染みのない方も多いと思います。

そうした知らない部分をよりイメージをする上でも写真が何枚かあれば助かるのですが、無いものはないのですが、探してみた所、本作のメインとなる東ティモール独立の過程で行われた虐殺などを取り上げている当事のニュース映像らしき動画が見つかりました。もう時間的にも経過をしているので、画質レベルとしては、かなり粗い画質になっているのですが、何となくイメージをする上で見ておいた方が、本章をより理解しやすくなるかと思います。

翻訳者である濱野さんのあとがきにも、倉沢さんの『インドネシア大虐殺-二つのクーデターと史上最大級の惨劇』が紹介をされていました。順番としてはどちらを先に読むか?そこについてはどちらでも。と言う感覚になりますが、もしも本章に興味をもたれている方がいましたら、倉沢さんの作品もお薦めですし、倉沢さんの作品を読んだ方であれば、今作のリチャード・ロイド・パリー氏の作品についても必見となります。

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