地図と拳(小川哲)

地図と拳(小川哲)
地図と拳(小川哲)

【第168回直木賞受賞作】
【第13回山田風太郎賞受賞作】

「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」
日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野……。奉天の東にある〈李家鎮〉へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。

ひとつの都市が現われ、そして消えた。
日露戦争前夜から第2次大戦までの半世紀、満洲の名もない都市で繰り広げられる知略と殺戮。日本SF界の新星が放つ、歴史×空想小説。

【著者紹介】
小川哲(おがわ・さとし)
1986年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。2015年に『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテスト〈大賞〉を受賞しデビュー。『ゲームの王国』(2017年)が第38回日本SF大賞、第31回山本周五郎賞を受賞。『嘘と正典』(2019年)で第162回直木三十五賞候補となる。

満洲の事を少しでも知っていたら読める作品でした

満洲と言えば、石原莞爾、岸信介、甘粕大尉と言った人物を思い浮かべる人が多いと思いますし、私自身もその一人となります。名前としては本書の中ではチラリと登場をするのですが、本書の中では満鉄に勤務をしている人物であったり、色々な前述をした歴史的に著名な人物の下の下で働いていた方々が軸として展開をされていくので、前述で取り上げた著名な人物に詳しくなくても、読むこと出来る作品となっています。

ただし!満洲と言う国があった事すら知らないレベルの人には向いていない。と言いますか、そんなレベルの人であれば、多分、書籍自体を読まないので、問題はないのかな?とは思いますが、その他、確たる主人公と呼べる人物がいないので、そうした確たる主人公と呼べるレベルの人がいて、話が展開をされていく作品を読みたい方にも、不向きになるかと思います。

個人的に感じたのは、『親子二代に渡る満洲に引き寄せられるた人物達の叙事詩』となります。多少なりとも、これまで満洲について、そして近代の歴史について自分なりに勉強をしてきたのが、存分に生きてきた形となりまして、全く分からない!と言うケースがなく、読んでいて内容自体が理解出来ない。と言うケースはなく読み進める事が出来ました。

モデルとなっている「総力戦研究所」

上述をしているように、確たる主人公はいません。序盤では、そんな事を知らないまま読み進めていて、この人が主人公でしょう?と思っていた人物が死んでしまい、あれ?となったりもしたのですが、物語の中盤以降、後半には役割を終えてほぼ登場をしなくなりましたが、仮想内閣が登場をしているのですが、こちらはモデルとなっているのが、「総力戦研究所」になりますね。

【あの戦争】30代は開戦前に「敗戦」を予測 歴史に埋もれた「総力戦研究所」から学ぶこと

実際に本書を読んで頂ければ分かる事になるのですが、日銀総裁と言うのは、そう言う事です。実際に満洲でも、こうした形で政府主導で研究所が行われたかどうかについては、少なくとも私の知識としては聞いたりした事はありませんね。勝手な有志の集まりでしたら、あったのかもしれません。

満洲の始まりから終わりまで、と言いましても、後半の崩壊をしていく部分については紙幅の関係か?スピード感が増していくのと、戦争の結末については、読者の皆さんもご存知ですよね?と言う形となり、あっという間に話が展開をされていくのと、満洲からの引き揚げに際して、軍人優先で日本本土に帰還をしているのも、当たり前の書かれています。

現在は台湾有事に備えて、軍備増強をすべきだ!と言う議論があったりもするのですが、その脅威となりえる中国を経済的に育ててきたのは、一体どこの国ですか?アメリカと日本だと私自身は記憶をしているのですが、自分達で金儲けの為に育てていき、今度は自国民に危機を煽る。と言うマッチポンプをしているように見えるのですが、当の自衛隊と言う軍人の精神は、この頃の日本の軍人と果たして変化をしているのでしょうか?

以前に、札幌の陸上自衛隊の広報が、広報だけに徹しておけばいいものを、ペラペラと余計な事の投稿をしており、自らがトランプ支持者であり、ま、ダイレクトには書いてはいませんが、完全に安倍晋三支持者で野党を隙あらば貶すだけの、ウヨである事をほぼ自白していたのですが、案の定、情報戦すら敗北をして、法輪功の機関紙である大紀元をあげたりしてしまい、反発を食らい謝罪もせずにアカウントを閉鎖。支持をしている、言い訳しかしないカルト宗教が絶賛をしていた人物と瓜二つの行動をしていましたね。陸上自衛隊として、正式に些末な事とは言え何かあったか?と言われると、私自身が把握をしている限りではありません。

中国が台湾を攻める理由としては、内戦が続いているから。と言う事になるのでしょうが、日本に攻め込む理由が個人的には見当たらないのですが、もしも本当に中国が日本に攻め込んできたら?守勢に回り始めた途端に、自衛隊は守るべき日本国民を見捨てて、自分達だけの防衛に力を割いていく形となるでしょう。

満洲からの引き揚げに際しては、さらりと書かれている程度になりますが、それはあくまでも軍人に属している方々の話となりまして、さらりと書かれている陸路での船での帰還を目指す、民間人の話については、本作と同様に、ノンフィクションをベースとしたフィクションの作品となりますが、以下の作品などを読んで頂ければ、いかに過酷であったか分かります。

本作品で登場をしている曲

セントルイス・ブルース:ルイ・アームストロング  Louis Armstrong:St.Louis Blues
Louis Armstrong – TIGER RAG (1938)

どちらも、ダンスホールでのシーンで掛かっていた曲となりますが、どちらもルイ・アームストロングの曲だったんですね。セントルイス・ブルースについては、何だか聞いたりした事があるな?と思ったりしたのですが、恐らくは洋画の映画などの挿入歌に使われていたのかもしれませんね。

著者の小川哲さんの授賞式のスピーチ

【第168回直木賞】「地図と拳」小川哲さんが会見

私自身よりも若いとな!と驚きましたが、作品自体はすでに多数出ているのと、クイズの本?が、原稿作成時点では最新作品になるのでしょうか?書店においてあり、気にはなっていたのですが、まだ未読ですが、もう少し読んでみたい気持ちになりましたね。

あまり、直木賞・芥川賞と言う権威ある大賞に関しては、興味がなく、本屋大賞位はチェックをしている位となっていて、今回の『地図と拳』についても、Twitterなどで、他の方々が取り上げてはいたのですが、総じてスルーをしていました。

何故か知人が購入をしていたらしく、満州の事が書かれているのに、何故に貴様は読まないのか?と言うプレッシャーに似たような事を言われて、(本当はもっと普通の言い方でした)満州!!となり、今回は購入をして、600ページを超える、鈍器本と読んで良いラインなのかどうか?分からないのですが、果たして自分は読み切れるのか?そして読み終えたとしても、初期の部分について記憶が残っているのだろうか?と課題を感じながら読み進めましたが、自分の多少なりとも知っているジャンルがベース。と言う事もありまして、初期の部分の記憶も残したまま、無事に読み終える事が出来ました。

中々、ここまでの分厚い書籍に関しては、購入をしても、手に取り、うん。。となり、そのまま、今後読む予定の本のコーナーにおいてそのまま。『テスカトリポカ』とか、まさにそうですね。

ただ、今回は読み切る事が出来た!と言う事で、自分の可能性を広げてくれるのにも役立った書籍となります。この辺りについては、本書の感想とか一切の関係がない部分となりますが、自分の出来る範囲の拡大を認識する事が出来た、良い機会となりましたね。

地図と拳(小川哲)の宣伝素材画像

追加:モデルとなった事件など

すでに読んだ方向けのネタバレになりますので、これから読むつもりの人は手などで、覆い隠してください。

平頂山事件

それ以外にも、作中に登場をしている公園は、恐らくですが、東宮公園だと思われるのですが、残念ながら、インターネット上での検索では、中々出てこない形となります。名前の由来としては、以下などを参照にして頂ければ、分かりやすいかと思います。

NHKスペシャルによる永田稠と満州移住

地図と拳(小川哲)を読んでみよう♪

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