🌍 世界が変わっても変わらないもの――名作に見る希望と苦悩

どれだけ世界が変わっても、私たちはいまだに「何のために生きるのか」「どうすれば人とわかり合えるのか」といった根源的な問いを抱え続けています。
そんな問いに静かに、あるいは激しく応えるのが、文学です。

今回ご紹介するのは、時代や国境を越えて読み継がれてきた4冊の名作。
トルストイ、チャペック、ディケンズ、ケストナー――それぞれの作品が、闇の中に灯る「人間らしさ」や「再生の力」を描き出しています。
現代を生きる私たちにも、深い示唆を与えてくれるはずです。

変化の時代だからこそ、変わらない何かに触れてみませんか？
ここで紹介をしている4冊は全て分量も少なく、一日で読み終える事が出来るだろう作品のみを集めてみました。

Table of Contents

📘『光あるうち光の中を歩め』｜レフ・トルストイ（訳：原久一郎）

📖 書籍概要・テーマ
人生の意味とは何か。愛はどこまで人を救えるのか。
ロシア文学の巨匠トルストイが、魂の問いと人間の倫理を深く見つめた短編小説。
トルストイ晩年の思想が色濃く反映され、読む者に「生き方」を問いかける一冊。

🎯 こんな人におすすめ

人生の目的や倫理について考えたい方
トルストイが到達した、新しいキリスト教の世界観
幸福とは何か？を探求したい方

✍️ 感想欄（あとで記載）：
海外文学の面白い所と難しい側面、両方を兼ねそろえておきながら、理解をしやすい内容に構築をされている作品となっています。これは一重に翻訳をした原久一郎さんの腕があってこそ。と思える位のレベルですね。

まず、本作の舞台は古代ローマとなります。キリスト教が異端とされている設定なのは分かるのですが、正式にキリスト教となっているのか？ユダヤ教の分派の一つとされているのか？分からない点もあるのですが、晩年のトルストイが夢見た世界が書かれた作品になるのではないか？と読んでいて推測をされます。

と言うのも、トルストイと言うのは、

トルストイ Tolstoj, Lev N(.1828-1910)
19世紀ロシア文学を代表する巨匠。ヤースナヤ・ポリャーナに地主貴族の四男として育つ。ルソーを耽読し大学を中退後、暫く放蕩するが、従軍を機に処女作『幼年時代』等を発表、賞賛を受ける。帰還後、領地の農民の教育事業に情熱を注ぎ、1862年の幸福な結婚を機に『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』を次々に完成。後、転機を迎え、「神と人類に奉仕する」求道者を標榜し、私有財産を否定、夫人との不和に陥る。1899年『復活』を完成。1910年、家出の10日後、鉄道の駅長官舎で波瀾の生涯を閉じた。

上記はAmazonでの引用になるのですが、基本的には聖人みたいな人なんですよね。その中でも、私有財産の否定と言う点は共産党革命の影響を多分に受けているのが伺えるのですが、その結果書かれているように、妻と不和になり、最終的には家出をして駅構内で死亡。と言う、今の日本で言えばひょっとしたら、村上春樹さんが私有財産を全部寄付して、東京駅の中で倒れてなくなった。と言う位にショッキングな事かもしれませんね。

古代ローマ時代のキリスト教がどういうものだったのか？どこまでハッキリとしているのか？歴史学の部分では不明な点も多いと思いますが、もちろん、生産性は低い時代ですから、助けあっていて、結果として共産主義的な部分があった。と言う設定になっています。

主人公は金持ちの家に生まれ、放蕩三昧。友人がキリスト教民であり、人生の節目節目で友人の言葉でキリスト教の集落に向かおうとするのですが、周囲からの反対などを受けて考え直す。を繰り返するのですが、最終的には老骨の身になりながらも、役割を与えられ生きがいを見出す。と言う内容の作品となっていました。

幸福とは何か？生まれた家柄として裕福に育ち、社会的な役割を期待をされている主人公と、決して裕福ではないながらも、常に人生を真っすぐに見つめ、ぶれずに自分の信仰を信じながら生きる友人との議論を通じて、今一度、幸福とは何か？を考えさせられる作品となっています。名作として残り、文豪と呼ばれる理由を、この一冊の厚みの少ない本を読んだだけで理解をするには充分な内容となっていました。タイトルだけでも、名言ですよね。

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📘『白い病』｜カレル・チャペック（訳：阿部賢一）

📖 書籍概要・テーマ
感染症と戦争、そして政治。
謎の死病が人類を蝕む中、権力と良心の狭間でもがく医師と指導者の姿を描いた戯曲。
ヒトラー政権の台頭する1930年代に書かれたとは思えないほど、現代の状況と重なり合う。
科学、道徳、国家主義の危うさが浮き彫りになる、静かなる警告の書。

⚠️ こんな人におすすめ

社会や政治と倫理の関係に興味がある方
パンデミック文学に関心がある方
戯曲形式でも読みやすい作品を探している方

✍️ 感想欄（あとで記載）：
戯曲形式の本と言うのは読んだ事がないですね。こちらの作品はコロナの時に予言の書か？みたいな感じで話題になった本になり、いつか読んでみたいな。と考えていたのですが、個人的に背中の手術で入院をした際に読む事が出来た作品になります。人生のどのタイミングで読むか？小説だけではないかもしれませんが、本と言うのは読むタイミングによって感じ方が違うのも面白い点ですし、良い点になりますよね。

話を戯曲形式に戻しますが、私自身こうしたタイプの作品はあまり読んだ記憶がないのですが、簡単に言えば台本。と言えば分かりやすいのでしょうかね？登場人物も決して多くはないので、サクサクと読めて、内容の理解のしやすさと面白さも相まって、あっという間に読み終えてしまった作品となります。

深い内容を含蓄していながら、かつ社会的に小説としては敬遠をされがちな政治的な話を中心にしていながら、どこかに滑稽さを残している点が実に面白い点になり、むしろコロナになる前から充分に話題になっていてもおかしくないレベルの満足感を味わう事が出来る作品となっています。

手軽に読めて面白い海外小説を探している人に対して、私自身が読んできた中では５本の指に入るレベルにお勧め度としては高い作品となりましたね。まだ読んでいない。あ！読もうと思っていたけれど、うっかりと忘れていた！と言う方は、これを一つのきっかけにして是非とも読んでみて下さい。そして感想を教えて下さい。

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白い病 (岩波文庫赤 774-3)

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📘『クリスマス・キャロル』｜チャールズ・ディケンズ（訳：村岡花子）

📖 書籍概要・テーマ
守銭奴スクルージが、クリスマスの夜に訪れる三人の精霊によって心を入れ替える――。
ディケンズの代表作にして、世界で最も愛されてきたクリスマス物語。
自己中心的な人間が「他者と共に生きる」ことの尊さに目覚める、普遍的な教訓と希望の物語。

🎄 こんな人におすすめ

クリスマスに心が温まる話を読みたい方
英文学の名作を気軽に読みたい方
自己改革や人生の再出発をテーマにした作品に惹かれる方

✍️ 感想欄（あとで記載）：
守銭奴スクルージの爺さんがクソ野郎過ぎて、どうしようもねーなこいつ。と思える人物となるのですが、そんな叔父さんに心を寄り添うしようとしている甥っ子。作品の根柢にあるのは、熱心なクリスチャンの心。と言う作品ですね。

そんな気を使ってくれている甥っ子に対しても冷たく当たる、スクルージが亡霊と供に過去・現在・未来を見て、心を入れ替える。と言う、ここの部分だけを切り取って考えると、恐らくは世界中にある話になると思います。肝心な点として、こうした本を読むべき対象である世の中のクソ野郎が、この本を読むか？と言う点ですよね。

かと言って、そうした対象の人に、クリスマスキャロル、読んだ方が良いですよ！とか言ってしまうと、相手が上司とかであれば下手したら自分の身が危なくなりますからね。

大人でも読む事が出来て、ハッピーエンドでテンションが上がる児童文学と言う位置づけになるのかな？と思います。著者であるディケンズの名前が、何か別の本で何度か登場をしたので、ライトそうな形の厚さの分量だったので、購入をした記憶があります。本から本へ。と数珠つなぎで本を読めていけるのも、本を読む楽しさの一つですよね。

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クリスマス・キャロル (新潮文庫)

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青空文庫-クリスマス・カロル

📘『飛ぶ教室』｜エーリヒ・ケストナー（訳：池内紀）

📖 書籍概要・テーマ
ドイツの寄宿学校を舞台に、子どもたちの友情や葛藤、成長を描いた珠玉の名作。
大人社会の矛盾や冷たさに立ち向かいながら、それでも希望を信じる少年たちの姿は、どの時代にも響く。「教育」や「家族」について、静かに深く問いかけてくる物語。

📚 こんな人におすすめ

子どもの目線から社会を見直してみたい方
少年少女文学を通じて人間関係を考えたい方
エーリヒケストナーの作品に触れてみたい方

✍️ 感想欄（あとで記載）：
上で紹介をしたクリスマスキャロルと同じタイミングで購入をして、同じタイミングで読んだ書籍になるのですが、断然こちらの『飛ぶ教室』の方が面白いです。子供ながらに持っている自尊心。どうしようもない理不尽と向き合っている時の逞しさを読みながら感じさせていただける作品でした。これが名作と言われるゆえんについては、読んで充分に納得をする事が出来ましたね。

私個人としては、エーリヒケストナーの最終的には別の作品を読む為のステップとして、分量が少ないのと、購入をした時期が冬でクリスマスをテーマにした作品として販売をされていたのですが、不思議な事に私が購入をしたのは新潮社の文庫版になるのですが、Amazonでは岩波文庫しか販売をされていないのですよね。もしかしてレアだったりするのかな？

寄宿学校が舞台となっていて、あー、私、寄宿学校で過ごした時期があったんですよ。と言う日本人は少ないと思いますので、舞台として感情移入をしやすい人。と言うのは少ないと思いますが、普段は学校で、休みになると帰省をするのですが、お金がない子供の場合には、旅費の工面を親がしてあげる事が出来なくて、学校に残るケースもあり、そうした自分ではどうする事も出来ない壁に当たった時に見せる子供のひたむきな姿に心を打たれました。

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飛ぶ教室 (岩波少年文庫 141)

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