ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち

ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち
ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち

出版社からのコメント
◎アメリカ人が、もうひとつのアメリカを知るためにこぞって読んでいる一冊
◎トランプ支持者、分断されたアメリカの現状を理解するのに、最適の書。
◎タイム誌「トランプの勝利を理解するための6冊」の1冊に選定。
◎トランプ大統領当選直後に、NHKニュースでも紹介。
◎2016年6月の発売以降、連続で「ニューヨークタイムズ」ベストセラーリストに入っています(2017年2月5日現在)。
◎アマゾン・コム、2016年間ベストセラー17位。
◎アマゾン・コムのカスタマーレビューが4640(2017年2月5日現在)。
◎ワールド・エコノミック・フォーラムが選ぶ、「影響力のある人たちが選ぶ読むべき本 トップ10」の第4位にランクイン。

【内容紹介】
無名の31歳の弁護士が書いた回想録が、2016年6月以降、アメリカで売れ続けている。著者は、「ラストベルト」(錆ついた工業地帯)と呼ばれる、オハイオ州の出身。貧しい白人労働者の家に生まれ育った。
回想録は、かつて鉄鋼業などで栄えた地域の荒廃、自分の家族も含めた貧しい白人労働者階級の独特の文化、悲惨な日常を描いている。ただ、著者自身は、様々な幸運が重なり、また、本人の努力の甲斐もあり、海兵隊→オハイオ州立大学→イェール大学ロースクールへと進み、アメリカのエリートとなった。今やほんのわずかな可能性しかない、アメリカンドリームの体現者だ。そんな彼の目から見た、白人労働者階級の現状と問題点とは? 勉学に励むこと、大学に進むこと自体を忌避する、独特の文化とは? アメリカの行く末、いや世界の行く末を握ることになってしまった、貧しい白人労働者階級を深く知るための一冊。

【本文引用】
私は白人にはちがいないが、自分がアメリカ北東部のいわゆる「WASP(ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント)」に属する人間だと思ったことはない。そのかわりに、「スコッツ=アイリッシュ」の家系に属し、大学を卒業せずに、労働者階層の一員として働く白人アメリカ人の一人だと見なしている。
そうした人たちにとって、貧困は、代々伝わる伝統といえる。先祖は南部の奴隷経済時代に日雇い労働者として働き、その後はシェアクロッパー(物納小作人)、続いて炭鉱労働者になった。近年では、機械工や工場労働者として生計を立てている。
アメリカ社会では、彼らは「ヒルビリー(田舎者)」「レッドネック(首すじが赤く日焼けした白人労働者)」
「ホワイト・トラッシュ(白いゴミ)」と呼ばれている。

内容(「BOOK」データベースより)
ニューヨーク生まれの富豪で、貧困や労働者階級と接点がないトランプが、大統領選で庶民の心を掴んだのを不思議に思う人もいる。だが、彼は、プロの市場調査より、自分の直感を信じるマーケティングの天才だ。長年にわたるテレビ出演や美人コンテスト運営で、大衆心理のデータを蓄積し、選挙前から活発にやってきたツイッターや予備選のラリーの反応から、「繁栄に取り残された白人労働者の不満と怒り」、そして「政治家への不信感」の大きさを嗅ぎつけたのだ。トランプ支持者の実態、アメリカ分断の深層。
著者について

【著者・翻訳者紹介】
J.D.VANCE(J.D.ヴァンス)
「ラスト・ベルト(さびついた工業地帯)」と呼ばれる地域のオハイオ州ミドルタウンおよび、アパラチア山脈の町、ケンタッキー州ジャクソンで育つ。高校卒業後、海兵隊に入隊、イラクに派兵される。除隊後、オハイオ州立大学、イェール大学ロースクールを卒業。現在はシリコンバレーで投資会社の社長を務める。サンフランシスコ在住。家族は妻と2匹の犬。

関根光宏(せきねみつひろ)
翻訳家。訳書に『世界天才紀行』(早川書房)、『イージー・トゥ・リメンバー:アメリカン・ポピュラー・ソングの黄金時代』(国書刊行会)、『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史2』(早川書房、
共訳)などがある。

山田文(やまだふみ)
翻訳家。イギリスの大学・大学院で西洋社会政治思想を学んだのち、書籍翻訳に携わる。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ヴァンス,J.D.
オハイオ州ミドルタウンおよび、アパラチア山脈の町、ケンタッキー州ジャクソンで育つ。高校卒業後、海兵隊に入隊、イラクに派兵される。除隊後、オハイオ州立大学、イェール大学ロースクールを卒業。現在はシリコンバレーで投資会社の社長を務める。サンフランシスコ在住

関根/光宏
翻訳家

山田/文
翻訳家。イギリスの大学・大学院で西洋社会政治思想を学んだのち、書籍翻訳に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

強烈なるグランマ

本書がアメリカで静かなるベストセラーとなっているらしい。アメリカに住んでいる訳ではないので、どれ位読まれているのか?どう言った層が読んでいるのか?詳細については分からない事も多いのですが、残念ながら、ヒルビリーが読んでいる事は少ないのだろう。

アメリカの場合には合衆国となっていて、連邦制が採用をされているので、法律も州によって異なります。その村意識は日本の田舎と同じように強いケースもあり、本書で登場をしているヒルビリーの掟では、親や親類が馬鹿にされれば、暴力に訴えるのも躊躇をしないし、それが当たり前のようされている。日本の子供の世界の話であればまだしも、そこはアメリカ合衆国。銃を手にして凄む訳ですね。

ヒルビリーで育った母親は、日本人の価値観で言っても、相当にやばい人になりますね。典型的な薬物中毒者となるのですが、病院を解雇された理由は緊急治療室でローラーブレードで動き回った。と言うのだから、笑うしかないレベルになります。

壊れていく保守主義

日本でも保守政党と掲げている政党が壊れてきていますが、世界でも共通の形になってますね。保守すべき国民と地域を徹底的に破壊してしまっている印象を受けます。その壊す要因として保守である著者のJ.D.ヴァンスも本書の中でこう記載しています。

白人の労働者階層には、自分たちの問題を政府や社会のせいにする傾向が強く、しかもそれは日増しに強まっている。現代の保守主義者たちは、保守主義者の中で最大の割合を占める層がか抱えている問題に対処できていない。と言う現実がここにある。

この辺りは保守リベラル問わず、政治家と国民のズレが大きくなり過ぎてしまっているのも大きな原因になりますね。本書の中でも登場をしている、繋ぎ資金としてのローンが紹介をされているのですが、そのローンが利率が高い。だから取り締まるべきだ。と政治家は考えているのですが、それがないと家賃が払えなくなってしまう人が大勢いる現実については、理解が少ないみたいです。この辺りは日本のサラ金でも同様の話があったりしましたね。それこそ、闇金ウシジマ君では、サラ金が最後に頼れる他人。と言う話が登場をした記憶があります。

能力主義がまた出て来た

当然、興味を持っているからになるのでしょうが、どうにも最近になって読んでいる本の中で、能力主義の功罪について書かれている本を読む機会が多くなっている気持ちがします。サンデル教授の本なんて、まさにそうですよね。本書の中でのJ.D.ヴァンスも、自分と同じような境遇の人間がロースクールでは、ほとんどいない事。そして就職活動において、本人の能力や努力とかではなく、社会的人的資本(要するにコネをイメージして頂ければ分かりやすいと思います)が勝敗を決する以前の問題として横たわっている事を痛感しています。

社会的人的資本について、最初の時点から恵まれた境遇にいる人は、例えばですが、どうしたら名門校に入りやすいのか?そうしたノウハウを知っているので、そこに資金を投下していき、子供はそこに乗っかって努力をしていけば、結果として社会的人的資本にも恵まれる形となる。そして良い会社に入れば賃金として高い給料を貰える。本人としては自分が努力をした結果であり、金銭な成功をしていない者は、努力をしてこなかった自業自得だ。と言うのが、大まかな能力主義の欠点になります。

本書で登場をしている、J.D.ヴァンスは海兵隊への入隊が、最も大きな人生の転換点になるのではないか?と個人的に読んでいて思ったのですが、J.D.ヴァンスの周囲の多くは、努力をしたくても、その方向性が分からないまま、もがいている人が多くなります。

能力主義。メリトクラシーになるのですが、その辺りについてなどの話では、以下の本なんかが似たような話が掲載をされています。ちょっとオーバーラップしてしまう部分もあると思いますが、興味がある方は是非参考にしてみて下さい。

解説の渡辺由佳里さんの話

『努力はしないが、ばかにされたくない』という歪んだプライドを、無教養と貧困とともに親から受け継ぐ。

これね、欧州についてはどうなっているのか?分からない部分も多いのですが、アメリカの大統領選挙で爆発をしてくれた?とので目に見えて分かった人も多いと思います。アメリカの国会議事堂への襲撃事件ですね。本書の中でも、割と多くの人が、オバマはイスラム教徒だと信じていたり、そもそもアメリカ生まれではない。と信じている人が多いです。なんでしたら、今でもトランプが大統領だと思っている人も、結構います。
こう書くと笑い事に思える人も多いと思いますが、日本でも確実にこうした、前提の話として共通点が違い過ぎる人が増加をしています。

この記事を書いている時点では、Dappi騒動がインターネット上を騒がせています。大半の人は、TwitterでDappiなんてフォローをしていないから、俺・私には関係ない。とやり過ごしていると思いますが、そのデマを回り回って耳にした人は多いと思います。

アメリカ国会議事堂を襲撃をした人も、Dappiのデマを信じた人も、民主主義に対しての攻撃に直接・間接的に加担をしている形になりますよね。アメリカの例の方が分かりやすい分として、ちょっとよろめいた人も正気に戻りやすいと思いますが、日本での悪質なデマを流してきた自民党は非常に悪質です。もう自民党と書いてしまいましたが、今後の裁判や記者の取材によってどう転ぶか?まだ、はっきりとしていませんが、揃っている情報を並べてみる限り、もう自民党の中の人が、直接的に指揮をしていたのではないか?と言う疑念が濃厚ですよね。

この辺りのデマを信じる人や、ファシズムへの道のりの事を扱っているのが以下の書籍になります。どちらも非常に良い作品でした。

アメリカンドリームなんて嘘っぱちだ。だからむかついている。と言う台詞が、ファイトクラブにあった。と言うのを教えてくれたのが下に紹介している書籍になりますね。

ヒルビリー・エレジーの映像化

ロン・ハワード監督、エイミー・アダムス&グレン・クローズ主演『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』予告編 – Netflix

Netflixで配信をされているみたいですが、正直に言って、入会をしていないので見ていないです。本書は、それなりに厚みのある書籍となっています。外国人の作品特有の、この部分いるか?と言うのも、結構多いです。要するに読むのに時間とスタミナがいるので、映像化作品でパッと見て終えてしまう。と言うのも有効だと思います。

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