代によって描かれ方が違う! 石田三成像の変遷を追う、短編アンソロジー。
伝説の元文芸編集者が厳選した10作品! いきなり文庫!
“日本一の嫌われ者”石田三成とは、いかなる人物だったのか──。豊臣秀吉の下、随一の頭脳派武将として辣腕を振るった彼は、死後四百年経った現在でも評価が大きくわかれる。秀吉との出会い「三献茶」から関ヶ原での敗北に至るまで、十人の実力派作家の作品を時系列に並べて歴史的評価の変遷を辿る、画期的な短編アンソロジー。あなたの三成像を変え、新たな小説の楽しみ方が発見できる一冊!
中島らもに釣られたでよ!
中島らもが石田三成について書いている?はてな?中島らもの作品、全てを読んだ訳ではないけれど、タイトルからして、石田三成を扱っているタイトルの作品は記憶にないな。これはレアな作品で単行本化されていない中から抜粋をされていたりするのかもしれん!私はそう思いました。
あとがきも含めて約400ページのうち、トップバッターを勤めている、目当てとして借りた中島らもの部分が4ページしかない。しかも石田三成の逸話で登場をしているだけであって、石田三成視点で書かれたものでも何でもない。これについては、あとがきにて編集者の山田裕樹さんも書かれている事になるのですが、『つかみ』として導入をしたみたいです。はい。見事につかまされました。
と言う事で、読み始めて早々と中島らものパートが終わり、なんじゃこれは?と言う怒りの感情も混じりながら作品を読んでみたのですが、これはガチガチの歴史の本ではなく、石田三成と言う実在をした人物をベースにした、歴史小説となります。こちらの歴史小説と言うジャンルについては、一頃は読んだりもしたのですが、ほとんど読んでいないジャンルとなりますので、どう付き合っていけば良いのか?困惑も交じりながらでしたが、結果オーライでしたね。
信長が実は生きていて、秀吉に隠居を強引にさせられたみたいな話が、最初に方にあったり、どうやって子宝を授かるのか?と言う淫靡な話が続いて、そろそろ、私の我慢の限界も臨界点に達しそうである。と思っていたのですが、その後に登場をした火坂雅志先生の『石鹸』なんてのは、中々良かったですね。実際の話かどうか?さっぱりと分からないのですが、イメージ的な石田三成にしっくりとくる作品となっていました。
そこからは、もう、それなりに楽しめる短編が続いていき、長束正家の話で、一本取られたわい!となったり、関ヶ原の戦いの後の話となる、『佐和山炎上』なんてのもの、読んでいて、自分としては、かなり楽しめました。あまり歴史小説と言うジャンルについては手を出して来なかったのですが、こうして読んでみると面白いもんですね。そうした発見があったのが、自分の中では本書との出会いの一番の収穫となりました。
関ヶ原の戦いから何年もが経過をした後の話となる『結局、左衛門大夫は弱かったのよ』については、もう自分の中でふに落ちる感じでした。
中島らも目当てで読み始めた立場としては、騙しおったな!と言う怒りの感情から出発をしたのですが、たまには騙されておくのも良いものよ。と言う、割とスカッとした読後感が残りました。
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