心がざわつく時代に、そっと読者を包み込むような優しさを持つ小説たち。
この特集では、現代の文学の中から「静けさ」「再生」「温もり」「想像力」をキーワードに、今読むべき4冊を厳選して紹介します。
1. 『人魚が逃げた』青山美智子
☆+*⌒★°⌒γ⌒⌒γ⌒☆+*⌒★°⌒γ⌒⌒γ⌒◁◁
2025年 本屋大賞ノミネート
☆+*⌒★°⌒γ⌒⌒γ⌒☆+*⌒★°⌒γ⌒⌒γ⌒◁◁
★累計8万部突破!
★TBS「王様のブランチ」(2024年11月23日放送)BOOKコーナー「ブックファースト アトレ吉祥寺店」文芸ランキング3位!本屋大賞4年連続ノミネート!
★東京新聞(2024年11月16日付)「著者は語る」で紹介されました!
今最注目の著者が踏み出す、新たなる一歩とは――。
幸福度最高値の傑作小説!
<STORY>
ある3月の週末、SNS上で「人魚が逃げた」という言葉がトレンド入りした。どうやら「王子」と名乗る謎の青年が銀座の街をさまよい歩き、「僕の人魚が、いなくなってしまって……逃げたんだ。この場所に」と語っているらしい。彼の不可解な言動に、人々はだんだん興味を持ち始め――。
そしてその「人魚騒動」の裏では、5人の男女が「人生の節目」を迎えていた。12歳年上の女性と交際中の元タレントの会社員、娘と買い物中の主婦、絵の蒐集にのめり込みすぎるあまり妻に離婚されたコレクター、文学賞の選考結果を待つ作家、高級クラブでママとして働くホステス。
銀座を訪れた5人を待ち受ける意外な運命とは。
そして「王子」は人魚と再会できるのか。
そもそも人魚はいるのか、いないのか……。
青山美智子ワールドとなっています。すでに青山美智子さんの作品を読んだ事がある人であれば分かると思いますが、短編集でありながら、繋がっている世界観となります。
赤と青とエスキースが私にとって、初めての青山美智子作品で少し戸惑ったりした部分があったのですが、理解をした上で、今回の『人魚が逃げた』を読ませて頂きましたので、構成自体は初めから分かってはいましたが、どう終わるのか?ワクワクさせて頂きながら読ませて頂きました。
やはり女性向け作品になっていると思いますので、女性に特にお勧めとなりますね。
🔹 公式サイト・特設ページ:
🔹 著者インタビュー:
🛒 購入先は:
Amazon『人魚が逃げた』
2. 『君が手にするはずだった黄金について』小川哲
才能に焦がれる作家が、自身を主人公に描くのは「承認欲求のなれの果て」。
認められたくて、必死だったあいつを、お前は笑えるの? 青山の占い師、80億円を動かすトレーダー、ロレックス・デイトナを巻く漫画家……。著者自身を彷彿とさせる「僕」が、怪しげな人物たちと遭遇する連作短篇集。彼らはどこまで嘘をついているのか? いや、噓を物語にする「僕」は、彼らと一体何が違うというのか? いま注目を集める直木賞作家が、成功と承認を渇望する人々の虚実を描く話題作!
これは小説ではなく、自伝でしょう?となる短編集になります。6つの作品が収録をされているのですが、小川哲さんと言えば、『地図と拳』で受賞をして小説家として名前が一気に売れた。と勝手に解釈をさせて頂いているのですが、その作品とは全く毛色が違う作品となっていて、多くの人にとって身近に思える作品となります。ちなみに、『地図と拳』については、以下を参考にして下さい。
特に好きだったのは、記憶を辿っていく話である『三月十日』。そして書籍のタイトルにもなっている『君が手にするはずだった黄金について』についてですね。こうした人に騙された人も決して少なくはないと思いますが、現れては消えていく。ストレートに書いてしまえば詐欺師になるのですが、成功をした詐欺師の話ではなく、失敗をした詐欺師で、悪人になり切れなかった。どこか自分がやっているビジネスが、別に誰にも迷惑をかけていない。と考えている節が読んでいて複雑な心境になりましたね。
著者が男性と言う事もありますので、どちらかと言えばですが男性向けになるのかもしれませんが、全然女性もウエルカムの作品となっています。
🔹 公式サイト・特設ページ:
🔹 著者インタビュー:
🛒 購入先は:
Amazon『君が手にするはずだった黄金について』
3. 『ファラオの密室』白川尚史
第22回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作、文庫化です! 紀元前1300年代後半、古代エジプト。死んでミイラにされた神官のセティは、心臓に欠けがあるため冥界の審判を受けることができない。欠けた心臓を取り戻すために地上に舞い戻ったが、期限は3日。セティは、自分が死んだ事件を捜査しながら、密室状態のピラミッドから消失した先王のミイラの真相を追う!
あまり私自身がミステリー系の作品は読まないのですが、信仰が前提の世界となっていて、別の地域から連れてこられた奴隷の子から見た視点が思わず自分の視点と重なってしまいました。
信仰と言うがすっかりと日常生活にまで染み込んでいる世界に対して、少しそこから離れた世界に入り、その信仰や日常生活がいかに異様に映るか?その点が自分の中では読んでいて、面白いな。と思いましたし、この辺りは狭い社会の話で言えば、会社の常識は一歩外に出たら非常識。と言う事もあるのかな?と思えましたね。そうした会社にいる!と言う人もいるかもしれません。
前述のように、普段はミステリー系を読まないので、おー、これがミステリー系か。とふむふむ。と言う気持ちで読ませて頂きました。すでに文庫版もされている作品となりますね。
🔹 公式サイト・特設ページ:
🔹 著者インタビュー:
🛒 購入先は:
Amazon『ファラオの密室』
4. 『小鳥とリムジン』小川糸
『食堂かたつむり』――「食べることは、生きること」
『ライオンのおやつ』――「死にむかうことは、生きること」小川糸が描き出す、3つめの「生」の物語
「愛することは、生きること」傷口に、おいしいものがしみていく
苦しい環境にあり、人を信頼することをあきらめ、
自分の人生すらもあきらめていた主人公が、かけがえのない人たちと出逢うことで自らの心と体を取り戻していく。主人公の小鳥のささやかな楽しみは、仕事の帰り道に灯りのともったお弁当屋さんから漂うおいしそうなにおいをかぐこと。
人と接することが得意ではない小鳥は、心惹かれつつも長らくお店のドアを開けられずにいた。
十年ほど前、家族に恵まれず、生きる術も住む場所もなかった18歳の小鳥に、病を得た自身の介護を仕事として依頼してきたのは、小鳥の父親だというコジマさんだった。
病によって衰え、コミュニケーションが難しくなっていくのと反比例するように、少しずつ心が通いあうようにもなっていたが、ある日出勤すると、コジマさんは眠るように亡くなっていた。
その帰り、小鳥は初めてお弁当屋さんのドアを開ける――
小川糸さんらしい繊細で優しいタッチが、読む者の心を洗います。読んでいて冒頭の部分でのみに登場をする、途中からの養父となった人物の苗字が私と同じになりますので、妙にリアルな気持ちになりましたね。
全くの小説の世界の話。と言う感覚ではなく、もしかしたら日常生活で同じような事があるかもしれない?そういう感覚を読ませて頂きながら思わせるのも、小川糸さんの作品のベースにありますよね。
前のページで紹介をしている、『とわの庭』をちょうど読み終えるタイミングで販売をされていて、そりゃ買うでしょう。となり購入をさせて頂きましたが、期待にしっかりと応えてくれるだけの面白さ、楽しさがありながら、しっかりと現代の抱える問題点を捉えているのが凄いですよね。
もちろん、お勧めとなる、グッドな作品となります。問題があっても、乗り越えるきっかけ。そのきっかけを掴む勇気を持つ事の大事さ。と言った、色々な大事な要素がしっかりと一冊に凝縮をされている珠玉の一冊です。
🔹 公式サイト・特設ページ:
🔹 著者インタビュー:
🛒 購入先は:
Amazon『小鳥とリムジン』


















コメントを残す